こことあるシリーズの「2020ぴのろぜ」は、今回で8年目のヴィンテージです。このロゼワインは、もともと赤ワインをつくるつもりのピノ・ノワールを試しにロゼワインにしたことがはじまりでした。伝統的なワイン産地で、そして新しいワイン産地で、世界中から敬愛され、あこがれを持って作られている葡萄品種、ピノ・ノワール。ここ日本でも、栽培が難しいといわれているピノ・ノワールから、今、素晴らしい赤ワインが生まれつつあります。日本のピノ・ノワール栽培では右に出る者はいないといわれている余市の木村農園。そのピノ・ノワールから、赤ワインではなくロゼワインをつくるということは、大変勇気のいることでした。木村農園のピノ・ノワールから1回限りのつもりで造ったロゼワインが好評で、それ以来洗練させながら最良の方法を模索しています。
2020年、北海道余市の屈指の栽培農家・木村農園の遅摘みピノ・ノワールは、硬質な果実が味わいの中心にあり酸も強く、なかなかよいヴィンテージでした。このピノ・ノワールを100%用いて、岩見沢の醸造場(10R)では葡萄を房ごとタンクに入れ、北海道の冷涼な気候だからこそできる低温で、マセラシオン・カルボニック(炭酸ガス浸漬)を行いました。それによってやわらかなアロマやフレーバー、旨みや、程よい“blush(ブラッシュ)”の色合いを果皮から抽出しました。葡萄をプレス(圧搾)した後は、厳選された樽とステンレスタンクで野生酵母により醗酵を続けました。そして醗酵後も澱と一緒に熟成させ、やさしい口当たりとアロマと、味わいを備えた複雑さをワインに与えていきました。
おかげさまでこのドライなロゼワインは、より爽やかで、より複雑で、多彩なお料理にも合わせやすくなりました。熟成にも期待が持てそうです。この辛口のロゼワインが、いつもの食卓やお友達との集まりの席を盛り上げるお気に入りのワインになれることを願っています。
テクニカル・データ | |
品種: | ピノ・ノワール 100% |
畑: | 北海道余市郡余市町登町 木村農園 |
収穫: |
2020/10/22~30 収穫時の糖度(平均)約22.2°Brix 収穫方法:手摘み |
醗酵: | 全房100%。野生酵母発酵。2カ月間マセラシオン・カルボニック。その後、古樽50%、ステンレススチールタンク50%に分けて、6カ月醗酵後貯蔵。 |
瓶詰: |
ビン詰日:2021/10/02~04 本数:10,684本(750ml) アルコール:12.6% 酸度:9.3 g/L. 残糖:3.6g/L. |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
色合いはオレンジがかったサーモンピンク。味わいはオレンジやプラムの果実に、黒胡椒やトースト、えんぴつの芯、ヨーグルトなど複雑な香りが絡み合う。味わいはさわやかな酸が口中に広がり、丸みのある果実味と軽やかな渋みを複雑に感じる。 |
料理との相性: | 山芋の千切りサラダ、生春巻き、山菜の天ぷら、茹でた毛ガニ、ムール貝の白ワイン蒸し、トムヤムクン、ます寿司、ほっけの一夜干し、酢豚、鹿肉のロティ 生山椒のソース、ジャークチキン |
飲み頃: | 2021年~2025年は、果実主体の風味が続く。2026年からは、酸味がなじみ、香ばしさと合わさり円熟した味わいになるだろう。 |
2022/09/12
●2020 こことあるシリーズ ぴのろぜワイン・データシートPDF(プリントに最適です)