ケルナー種は1969年にドイツで開発された白ワイン用葡萄品種でジャンシス・ロビンソンMWの「ワイン用葡萄ガイド※」には『現代ドイツの葡萄交配の大傑作』と書かれています。また『ケルナーは、他の品種のように交配種開発者の名ではなく、19世紀に地元の、酒の讃歌の作詩家に因んで名付けられた』そうです。現在、このケルナー種の葡萄は、ドイツ、オーストリア、南アフリカ、イギリス、そして日本の北海道などで栽培されています。 ※訳と発行:ウォンズパブリシング リミテッド
2021年、北海道余市の契約栽培農家さんたちの畑では収穫の時期に貴腐が現れはじめ、貴腐混じりの収穫になりました。貴腐とは、葡萄の果皮がボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)という菌(灰色カビ)に感染することによって、葡萄の糖度が高まり芳香を帯びる現象です。そこで、2021年は特別に、“こころみシリーズ”としてケルナー種のなかでも貴腐菌の付いた葡萄を集めて仕込み、野生酵母で ゆっくりと醗酵させてみました。結果は、まどろむような甘さのとても上質なワインになりました。
貴腐のチャンスを活かして造られた「こころみシリーズ 2021ケルナー・シエスタ」。南国を思わせるフルーツに加えて、貴腐葡萄を醗酵させた際の蜂蜜のような香りや味が、このワインに複雑さと華やかさを与えています。微生物の営みによってつくられるこの自然の甘さが、安らぎのひとときのためにお役に立ちますように願わずにはいられません。
テクニカル・データ | |
品種: |
ケルナー 97% シルヴァーナ 3% |
畑: | 北海道 余市 荒農園、藤澤農園、才川農園 |
収穫: |
2021/10/09, 12, 16, 19, 28 11/02 収穫時の糖度(平均) 約25.0°Brix 収穫方法:手摘み |
醗酵: | 2つの方法で仕込んだ。1つ目はフリーランの果汁のみをステンレスタンクに入れ液温を23℃以下で約1カ月、野生酵母で醗酵。2つ目はやさしくプレスした果汁と除梗した葡萄をプラスチックタンクに入れ1カ月醸す。アルコール醗酵により十分に成分を抽出した後、プレス。その後、ステンレスタンクにて野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック醗酵)を続ける。 |
熟成: | ステンレスタンクで約6カ月熟成。その後、澱引き・ブレンドし、濾過を行った。 |
瓶詰: |
澱引き後、濾過を行いながらビン詰。 瓶詰日: 2022/06/22 本数: 7,180本(750ml) アルコール: 12.1 % 酸度: 5.6g/L. 残糖: 52.0g/L. |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
香りは、グレープフルーツやあんず、黄桃などの果実に、はちみつやヴェルヴェーヌ、生姜、サイダーなどの香りが複雑に絡み合う。味わいは、口中にしっかりとした甘みを感じ、程よい酸が丸みを帯びる。余韻はアルコール由来の辛さとほろ苦さが続いていく。 |
料理との相性: | キャロットラペ、パテドカンパーニュ、サーモンとクリームチーズのマリネ、フォアグラのフラン、実山椒の佃煮、蕗の薹の天ぷら、香箱蟹、牡蠣のクリーム煮、アッシェパルマンティエ、宮崎地鶏の炭火焼き、白桃とリコッタチーズのかき氷、金柑のコンポート、サヴァラン |
飲み頃: |
2022年〜2027年は、フレッシュな果実の風味が続く。 2028年からは、熟成により酸と甘みの一体感が増し、奥深い味わいになっていくだろう。 |
2022/07/22
●2021 ケルナー・シエスタワイン・データシートPDF(プリントに最適です)