「陽はまた昇る」はタナ種を主体にした赤ワインです。タナ(Tannat)の名はタンニン(Tannin)に由来するようにその渋みが特徴です。フランス南西部マディラン地方の主要な葡萄品種で現地ではこの葡萄から濃い色の果実味豊かで渋味のしっかりとした長期熟成タイプのワインが数多く造られています。
私たちは西暦2000年前後からはじまった日本の適地適品種の葡萄を捜す旅の途中で、このタナ種の葡萄に巡り会いました。そして日本で育てることの可能性を感じ、まずはじめに足利にこの品種を植えてみました。その後、可能性を探るべく山形の契約農家に栽培をお願いしたところ初めての品種にもかかわらず、タナ種の栽培を快く快諾してくださいました。そして土地との相性もさることながら、彼らの経験と技術によってわずか数年のうちに素晴らしい葡萄が収穫できるようになりました。
醸造場では葡萄の良さを生かすためシンプルな造りを心がけました。ワイン醗酵は、野生酵母や野生乳酸菌が働いて、何も加えることなくアルコール醗酵やマロラクティック醗酵が行われました。
タナ種の果実味や渋味、酸味、カベルネ・ソーヴィニョン種とメルロ種の柔らかな口あたりなどが調和した力強く優しい赤ワインです。困難な時代、明日に希望をつなぎながらゆっくりいきましょう。
テクニカル・データ | |
品種: |
タナ 82% カベルネ・ソーヴィニョン 17% メルロ 1% |
畑: |
山形県上山 南果連協同組合 山梨県北杜市 シティファーム |
収穫: |
2020/10/10, 12, 18, 26 2020/11/05 収穫方法:手摘み |
醗酵: | 熟した葡萄を除梗し軽く破砕して、小型のタンクへ移す。ルモンタージュを行いながら、徐々にマストを温めてゆく。2、3日すると野生酵母による醗酵が自然に始まる。醗酵は高めの温度で進み、残糖がなくなるまで続く。注意深くルモンタージュを続けながら、十分な色素と風味を抽出する。約2週間醸した後、マストを搾り、ワインを皮と種から分ける。その後、木樽に移し野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック醗酵)を促す。 |
熟成: | オークの木樽で約12~13カ月熟成。 |
瓶詰: |
澱引きし、無清澄・無濾過でビン詰。ビン詰日: 2021/12/22, 23 本数: 11,526本(750ml) アルコール: 12.4 % 酸度: 8.8 g/L. 残糖: 0.03 g/L. |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
色合いは深みのある黒いガーネット。香りはダークチェリーやカシスの黒い果実に、ナツメグや白檀、なめし皮、石灰、スモーキーな香りを複雑に感じる。味わいは舌触りの良いタンニンと滑らかな酸のバランスが良く、余韻に香ばしさと程よい渋みが続く。 |
料理との相性: | こころみ学園産原木栽培椎茸のソテー、炒り銀杏、アスパラガスとポーチドエッグ、豚肉のリエット、穴子の蒲焼き、鱈の焼き白子、ピーマンの肉詰め、豚ひき肉のクミンパスタ、レバニラ炒め、仔羊のロティ、ブフブルギニヨン |
飲み頃: | 2022年から2027年は、果実味とフレッシュな酸を感じる清涼感のある味わいが続く。2028年からは、熟成によりタンニンが滑らかになり、旨味や香ばしさ主体の味わいへと変わっていくだろう。 |
2022/09/06
●2020 陽はまた昇るワイン・データシートPDF(プリントに最適です)