私たちは世界各地のワイン産地を訪れる旅の間に、茜色の滋味深いワインに巡り会うことができました。イタリアのフリウリ地方やフランスのジュラ地方、そしてジョージアの人たちがつくる渋く複雑でナチュラルな美味しさを持つオレンジ色のワイン。適地適品種の葡萄を探すなかで、その土地に古くから栽培されてきた葡萄がその個性を思う存分に発揮しているワインの有りようは、私たちを勇気づけてくれました。当時、日本固有の葡萄・甲州種から造られた白ワインは、そのほとんどが淡い色で軽く飲みやすいワインでした。それゆえ葡萄自体も同じように淡い色でソフトな味だと思われがちでしたが、実は甲州種の葡萄は渋味がありとても力強いのです。そんな甲州種の魅力を引き出したくて、2004年から私たちは甲州種から可能な限り葡萄の香りと成分を抽出したワインを造りはじめました。
F.O.S.とはFermented on Skins(果皮の上で醗酵)の略。2004年以来、このF.O.S.は優れた契約栽培家との信頼関係をもとに、毎年(赤ワインのように)果皮や種を一緒に醗酵させ、試行錯誤を繰り返しながら造っています。名誉なことに「2017甲州F.O.S.」は「モーニングNo.39」のマリアージュ~神の雫 最終章~(作:亜樹直 画:オキモト・シュウ)にも登場させていただきました。この「2020甲州F.O.S.」も、深い色、広がりのある複雑なアロマ、ここちよい渋みを有しています。アンバーワインにも分類され、多彩なお料理と思わぬ相性を見せるこのワイン、どうぞのんびりお楽しみくださいますよう。
テクニカル・データ | |
品種: | 甲州 100% |
畑: |
山梨県甲州市塩山 小川畑 山梨県甲州市勝沼 秋玉園東夢農場、秋山農園、芳王遊覧園 |
収穫: |
2020/09/22, 23 2020/10/13, 20 収穫時の糖度(平均):約15.8°Brix 収穫方法:手摘み |
醗酵: | 2つの方法で野生酵母により醗酵させた。1つ目は、除梗した葡萄をタンクまたは甕へ入れ約80日間醸す。アルコール醗酵により十分に成分を抽出した後プレス。2つ目は、葡萄を除梗しステンレスタンクで2週間醸し醗酵後プレス。 |
熟成: | 醗酵終了後、約6割を木樽、約4割をステンレスタンクで7~10カ月熟成。 |
瓶詰: |
澱引き後、清澄せず無濾過でビン詰。ビン詰日:2021/09/01 本数:7,928本(750ml) アルコール:11.5 % 酸度:5.0 g/L. 残糖:0.13 g/L. |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
色合いは明るい琥珀色。香りは柿、黄桃、蜜柑に、紅茶やクローブ、トースト、炭などか複雑に香る。味わいは、熟した果実味にしなやかな酸が全体を引き締め、フェノールからくる丸みと渋みが、奥深い旨味として感じられる。 |
料理との相性: | 生ハムと桃のカプレーゼ、トマトとバジルの冷製カッペリーニ、スモークサーモンとクリームチーズのマリネ、いぶりがっこ、香箱蟹、穴子の蒲焼き、麻婆豆腐、鶏手羽元と大根のすっぱ煮、炭火焼鳥、おでん |
飲み頃: | 2022から2027年は、果実味、酸味、タンニンなど立体的な味わいを楽しめる。2028年からは、熟成によりドライフルーツの香りや香ばしさなどが現れ、落ち着きのある印象へ変化するだろう。 |
2022/09/06
●2020 甲州F.O.S.ワイン・データシートPDF(プリントに最適です)