ケルナー種は1969年にドイツで開発された白ワイン用葡萄品種で「ワイン用葡萄ガイド※」には『現代ドイツの葡萄交配の大傑作』と書かれています。また、『ケルナーは、他の品種のように交配種開発者の名ではなく、19世紀に地元の、酒の讃歌の作詩家に因んで名付けられた』そうです。現在、このケルナー種の葡萄は、ドイツ、オーストリア、南アフリカ、イギリス、そして日本の北海道などで栽培されています。※著者:ジャンシス・ロビンソン、訳と発行:ウォンズパブリシング リミテッド
2019年、北海道余市の契約栽培農家さんたちの畑では収穫の時期に貴腐が現れはじめ、貴腐混じりの収穫になりました。貴腐とは、葡萄の果皮がボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)という菌(灰色カビ)に感染することによって、葡萄の糖度が高まり芳香を帯びる現象です。そこで、2019年は特別に、“こころみシリーズ”としてケルナー種のなかでも貴腐菌の付いた葡萄を集めて仕込み、野生酵母でゆっくりと醗酵させてみました。結果は、まどろむような甘さのとても上質なワインになりました。
貴腐のチャンスを生かして造られた「こころみシリーズ 2019ケルナー・シエスタ」。南国を思わせるフルーツに加えて、貴腐葡萄を醗酵させた際の蜂蜜のような香りや味が、このワインに複雑さと華やかさを与えています。
テクニカル・データ | |
品種: | ケルナー 88% プティ・マンサン 10% ソーヴィニョン・ブラン 2% |
畑: | 北海道余市 荒農園、藤澤農園、長谷川農園、才川農園(ケルナー) 山形県上山 南果連、長野県高山村 佐藤農園(プティ・マンサン) 北海道余市 才川農園(ソーヴィニョン・ブラン) |
収穫: | 2019/10/15, 18, 22, 27 11/02(ケルナー) 2019/10/07, 20, 28(プティ・マンサン) 2019/10/15(ソーヴィニョン・ブラン) 収穫時の糖度(平均) 約25.8°Brix |
醗酵: | 房全体をやさしくプレスして得られた果汁をタンクに入れ、約16~20℃の温度で野生酵母でゆっくりと醗酵させた。 |
熟成: | ステンレスタンクで2021年2月まで熟成。 |
瓶詰: | 澱引き後、濾過を行いながらビン詰。 瓶詰日: 2021/03/24 本数: 2,679本(750ml) アルコール: 12.3 % 酸度: 5.7g/L. 残糖: 50.3g/L. |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
香りはグレープフルーツやアンズ、黄桃などの果実に、カスタードクリームやはちみつ、ヨーグルト、ミカンの皮、墨汁などの香りが複雑に絡み合う。味わいは口中にしっかりとした甘みを感じ、丸みを帯びた酸が支えている。 |
料理との相性: | キャロットラペ、ラタトゥイユ、チーズフォンデュ、実山椒の佃煮、蕗の薹の天ぷら、アオリイカのお造り、香箱蟹、牡蠣のクリーム煮、スンドゥブチゲ、豚と白菜のミルフィーユ鍋、豚バラ肉のキムチ鍋 |
飲み頃: | 2021年~2025年 フレッシュな果実の風味が続く。 2026年~ 熟成により酸と甘みの一体感が増し、奥深い味わいになっていくだろう。 |
2021/04/06
●2019 ケルナー・シエスタワイン・データシートPDF(プリントに最適です)