ここ北関東・足利の夏は暑い、とにかく蒸し暑いです。ちなみに2019年は、隣の佐野市の観測所で最高気温が35℃以上の猛暑日を23日記録しています。一般的に、葡萄は暑すぎる日が続くと果実に含まれる酸が減って、病気にかかりやすく、特に白ワインは平坦な味わいになってしまいがちです。
そうはいっても、ココに生きる葡萄も私たちも、引っ越すわけにはいきません。こころみ学園では、20世紀から21世紀にかけて、猛暑や豪雨などの気候変動に負けない葡萄をつくること、北関東の気候にあった適地適品種のよいワイン用葡萄をつくることはみんなの願いでした。
そんな願いを実現すべく、1990年頃から、世界各地の産地を調べ訪れ、実際にテイスティングする旅がはじまりました。そしてとうとう、フランスの南西部スペインとの国境にほど近い、ピレネー山脈の麓でこのプティ・マンサンに出会うことができたのです。ポーの町に滞在して畑を訪れると、このジュランソンの地でつくられるプティ・マンサンのワインは、驚くほどの凝縮感と余韻の長さを持っていました。強い酸味に対し、味わいのバランスをとるために、甘さをしっかり残した原産地のワイン。
足利ではきっと酸味が適度に残る葡萄になり、それなりにバランスのとれた白ワインになるのではないか・・・。そんな予測から2006年、私たちはプティ・マンサンの栽培をはじめました。
そして葡萄の樹も順調に生育し、足利の暑さにも耐え美味しい酸を残したまま、トロピカルな雰囲気もあるよく熟した果実を収穫できるようになりました。私たちは、できあがったワインにもこれからの可能性にも大いに期待しています。ぜひ味わってみてください。
テクニカル・データ | |
品種: | プティ・マンサン 100% |
畑: | 栃木県足利市田島 こころみ学園 |
収穫: |
2019/09/17, 19, 24, 26, 30
収穫時の糖度(平均):約20.8°Brix |
醗酵: | 房ごと葡萄をやさしくプレスして、ステンレスタンクに入れ、葡萄の香りを逃がさないように18℃位で約1週間。その後、樽に移して約3週間、野生酵母で醗酵させ、野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック醗酵)を促す。 |
熟成: | 樽で約8カ月熟成。 |
瓶詰: |
澱引き後、清澄せず無濾過でビン詰。 ビン詰日:2020/06/10 本数:3,494本(750ml) アルコール:11.6% 酸度:0.72 g/100 ml 残糖:0.5% |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
りんご、かりん、パイナップルに加え、発酵バター、クリーム、蜂蜜やドライアプリコットの香り、口に含むと質の良い豊富な酸味としっかり凝縮した風味が高いレベルで調和している、火打石など硬質な印象や旨味もあり長い余韻が続いていく。 |
料理との相性: | 寒平目と柑橘のカルパッチョ、蕪のたき合わせ、白子のすり流し、ホンモロコ揚げ、海老芋のおかきあげ、鱈のヴァプール、甘鯛のクルスティアン、酢豚、トムヤムクン、ミモレット・ジュンヌ、ホワイトスティルトン、クレープシュゼット、マロンクリームのミルフィーユ |
飲み頃: |
2020~2024年 フレッシュな酸味と果実味のある味わいが続く、抜栓後細かい泡が立ち昇るので気になる場合は1時間以上前に抜栓するかデキャンタージュをお勧めする。 2025年~ 熟成により果実の香りが落ち着き、味や凝縮感が増して味わいの向上が期待できる。 |
2020/09/30
●2019 プティ・マンサンワイン・データシートPDF(プリントに最適です)