「陽はまた昇る」はタナ種を主体にした赤ワインです。タナ種はフランス南西部マディラン地方の主要な葡萄品種で、マディランはフランスのブドウ栽培地の中では年間の雨量がなかなか多い場所です。現地ではこの葡萄から、色が濃く果実味豊かで渋味の強い長期熟成タイプの印象的なワインが数多く造られています。土地に合った葡萄品種を栽培することを最良のワインを造る方法のひとつとして考えている私たちは、この葡萄なら日本でもうまく育つだろうと考え、まず始めに足利にこの品種を植えました。その後、ここ以外の場所の可能性を探るべく、山形と長野の契約農家に栽培をお願いしたところ初めての品種にもかかわらず栽培を快諾してくださいました。そして土地との相性もさることながら、彼らの経験と技術によってわずか数年のうちに素晴らしい葡萄が収穫できるようになりました。
醸造場ではこの葡萄の良さを生かすためシンプルな造りをこころがけ、タナ種の持つ果実味や酸味、カベルネ・ソーヴィニョン種の柔らかな口当たりが調和し、バランスのよいワインになりました。
テクニカル・データ | |
品種: |
タナ 82% カベルネ・ソーヴィニョン 18% |
畑: |
山形県上山 佐竹畑、長野県高山村 佐藤農園、山形県上山 木村畑 尾形畑(タナ) 山形県上山 小松畑(カベルネ・ソーヴィニョン) |
収穫: |
2017/10/17, 18, 21, 23(タナ) 2017/10/26(カベルネ・ソーヴィニョン) 収穫時の糖度(平均)21°Brix |
醗酵: | 熟した葡萄を除梗し軽く破砕して、小型のタンクへ移す。ルモンタージュをおこないながら、徐々にマストを温めてゆく。2、3日すると野生酵母による醗酵が自然に始まる。醗酵は高めの温度ですすみ、残糖がなくなるまで続く。注意深くルモンタージュを続けながら、十分な色素と風味を抽出する。約2週間醸した後、マストを搾り、ワインを皮と種から分ける。その後、小樽に移し野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック醗酵)を促す。 |
熟成: | オークの小樽で約12~13カ月熟成。 |
瓶詰: |
澱引きし、清澄・濾過処理なしでビン詰。 ビン詰日: 2019/01/17 本数: 6,478本(750ml) アルコール: 11.8 % 酸度: 0.63 g/100 ml. 残糖: 0.10 % |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
ブラックチェリー、ブラックベリー、カシスに加え、ナツメグ、シナモンなどのスパイス、ローリエ、針葉樹、黒土やシガーボックス、さらにはスモーキーな香りも複雑に混ざりあう。口当たりはやわらかく、やや高めの酸味としっかりとしたタンニンが旨味、ほのかな苦みを伴い心地よい余韻が続いていく。 |
料理との相性: | こころみ学園産原木栽培椎茸のソテー、いぶりがっこ、きんぴらごぼう、河豚のスパイス炒め、穴子のグリル、鰤の照り焼き、グラタンドフィノア、豚肉のリエット、仔羊のロースト、コンテチーズ、ケソ・マンチェゴ、フォンダンショコラ、紅玉のタルトタタン |
飲み頃: | 2020年~2022年 果実主体の風味が続く。2024~2026年 熟成によりタンニンが滑らかになり、旨味や香ばしさ主体の味わいへと変わっていくだろう。 |
2020/03/16
●2017 陽はまた昇るワイン・データシートPDF(プリントに最適です)