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ワイン・データシート

2016 こころみシリーズ ブラン・ド・タナ ワイン・データシート

 ”こころみシリーズ”は可能な限りベストなワインを造ろうという私たちの新しい試みです。異なる畑の様々な葡萄を使用したり、同じ葡萄品種で色々な造り方に挑戦したり、この種々な”試み”をぜひお楽しみください。
 「ブラン・ド・タナ」、直訳すると「タナの白」。この白ワインは、赤ワイン用のタナ種の葡萄からできています。タナはフランス南西部原産の葡萄で、赤ワインの渋味の元にもなる「タンニン」が語源となるくらい、渋味が強く、色も濃い、味わいのしっかりした赤ワインがつくられています。世界中のワイン産地から適地適品種の葡萄を探すなかで、高温多湿で日照量もそれほど多くない日本においても、他品種と比べて突出した色の濃さとタンニンを持つ葡萄に育っています。そんな葡萄で白ワイン!? 不思議に思う方も多いのではないかと思います。
 タナは渋味や色の濃さだけでなく、のびやかな芯のある酸味、ボディといった特筆すべき個性を持ち合わせています。特に長野県高山村の佐藤さんに育ててもらっているタナには、土地の特徴である鉱物のような味わいを感じ取ることができます。これらは、渋味以外は白ワインの魅力として明確な特徴です。私たちは、赤ワインとしての魅力が強いタナの印象にとらわれてしまい、この葡萄がおいしい白ワインになる可能性を見逃していました。
 白ワイン用の葡萄で、赤ワインのように果皮と種を一緒に発酵させる「甲州F.O.S.(Fermented on Skins)」。この逆の発想で、赤ワイン用の葡萄で、白ワインのように果皮と種を取り除いてジュースのみを発酵させた白ワインが「ブラン・ド・タナ」です。果汁のみを醗酵させることで、渋味がほとんどなく、豊かな酸とボディを持つワインになりました。赤ワイン、白ワインといった分類や製法にとらわれず、葡萄が持つさまざまな魅力を引き出すことは、私たちのテーマの一つです。新しいチャレンジをお楽しみいただければ幸いです。

テクニカル・データ
品種: タナ 100%
畑: 長野県高山村 佐藤農園
収穫: 2016/09/23
収穫時の糖度 約18.7°Brix(平均)
醗酵: 房全体をやさしくプレスして得られた果汁をステンレスタンクに入れ、野生酵母にて約16~20℃の温度で約1ヶ月間半ゆっくりと醗酵させた。その後、樽内で野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック醗酵)を続ける。
熟成: 樽で約10ヶ月、ステンレスタンクで約6ヶ月半熟成。
瓶詰: オリ引き後、清澄せず無ろ過でビン詰。
ビン詰日: 2018/03/28 本数: 296本(750ml)
アルコール: 12.0 %   酸度: 0.70 g/100 ml.   残糖: 0.09 %
このワインについて
テイスティング・
コメント:
色合いは、少し赤みがかったイエロー。アセロラやチェリー、レモン、グレープフルーツ、りんごの皮様の渋味を想起する香りも。口中も、香りとの一体感があり、一貫した酸味を主体に、赤ブドウ由来のほのかな渋味やオークの風味、塩気も感じられ、程よいコクと複雑さがある。
料理との相性: ニンジンのラペ、レモンクリームパスタ、塩焼きチキンのエスニックハーブソース、秋刀魚の塩焼き、鮎の春巻き、イカとセロリの柚子胡椒炒め、スズキのセビチェ、ブリー・ド・那須やコンテ、レアチーズケーキ、グレープフルーツのジュレ
飲み頃: すっきり飲みたいなら、よく冷やして。ふくよかさを楽しみたいなら、セラー温度くらいで。向こう2年はフレッシュな味わいを楽しめるだろう。いい状態で、5年ほど熟成させると、一体感が増して、まろやかさが出てくるだろう。

2018/08/29

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