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ワイン・データシート

2012 こことあるシリーズ ぴのろぜ ワイン・データシート

こういうわけで・・・
「ロゼはどう?」
ちゃんとその言葉は聞こえていたけれど、知らんふりをすることにした。忙しすぎて(もしくはそう思い込んでいて)、立ち止まって考える暇がなかったのだ。けれど、その言葉は数秒後には戻ってきた...
「ロゼよ、ロゼ」
この、あまりうれしくない議題の矛先を転じたくて、僕は断固として応じた。
「だめだよ。日本全国でもピノノワールでは一番っていうぐらいの畑から来た君は、すごく高価くついてるんだからね。君は赤ワインになることになってるんだ。」
僕が言ったことは確かに否定しがたい事実ではあったけれど、そのブドウにはきれいなイチゴとフローラルな風味、生き生きとした軽快な口当たり、そして程よくスパイスが感じられる後味があった。まるで、僕の心の内と、弱まりつつある決心とを読んだかのように、またその声は戻ってきた。「ロゼにしてよ。自分だって、本当はそうしたいくせに。」がけっぷちに追い込まれて、僕はそれでも弱々しく抗議した。「誰もロゼなんか買わないよ。赤でも白でもなくて、みんなロゼってワインがあることも忘れてるさ。」
「何バカなこと言ってるの。」とその声は答えた。「私たちロゼワインは、ちゃんとした作り方をしさえすれば、白、赤両方のいい所取りだってこと分かっているでしょ。赤のように辛口で複雑、しかもたいがいの白のように軽やかでエレガント。それに、本当にいろんな食べ物との相性がいいのよ!!」
戦いは終わった。僕たちは照準を合わせなおし、ピノノワールのドライロゼ作りに着手した。丁寧な圧搾、古いフレンチオークの樽とステンレスのタンクでの生酵母による発酵を経て、力強く香りつつ、絶妙に軽快で元気いっぱいのワインが出来上がった。そして、ぶどうが言った通り、本当にいろいろなタイプの食事とよく合うワインに仕上がった。A Votre santé(乾杯)!

こことあるシリーズは、北海道岩見沢市の10R(トアール)と栃木県足利市のココ・ファーム・ワイナリーのコラボレーションによる“美味しい適地適品種”のワインです。

テクニカル・データ
品種: ピノノワール 100%
畑: 北海道余市町登、木村農園100%
収穫: 2012年10月28日
醗酵: ぶどう選別。軽く破砕。醸し4日間。低圧絞り。
一夜常温沈殿、澱引き。ステンレスタンク(5割)や古樽(5割、7年目のフレンチオーク)での発酵:野生酵母100%、100%MLF(乳酸菌発酵)は野生菌で。発酵後数か月澱漬け。澱引き、ブレンド、少量の亜流酸塩添加、無清澄剤・無濾過ビン詰め
瓶詰: 瓶詰日:2013/9/30        本数:2,328本(750ml)
アルコール: 11.8% 酸度: 0.66g/100 ml.  残糖: 0.23%
このワインについて
テイスティング・
コメント:
「2012こことあるぴのろぜ」の特徴はイチゴ、シナモン、ブラッドオレンジやコーヒーなどの上品なアロマ。やわらかでドライな口当たり。後味にハーバルな収斂性。
料理との相性: 濃縮感があって上品なロゼなのでたいていのものと美味しくいただける。あまり熟成していないゴートチーズや、川魚の塩焼き、マグロどんぶり、パテなどが特におすすめ。 
飲み頃: 今すぐに飲んでも、2,3年待っても楽しめる。

2013/10/25

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