北ののぼは、北海道余市の木村農園で2012年に収穫されたピノ・ノワールとシャルドネを使用して、伝統的なビン内二次醗酵方式でつくりました。
良いスパークリング・ワインにはしっかりとした豊かな酸が必要不可欠です。このワインは、ピノ・ノワールからは芳醇な香りとコク、厚みのあるボディ、シャルドネからは芯の通った酸のある味わいが得られます。
北海道余市の栽培家、木村さんのきりりとしたおいしい酸を持つピノ・ノワールとシャルドネを、最適なタイミングで収穫。岩見沢の醸造場合同会社10Rで、房のままていねいに搾って、純粋なフリーランの果汁だけを取り出しました。その後、葡萄本来の自然の持ち味を活かすため、果皮に付いた野生酵母でステンレス・タンクでそれぞれ一次醗酵させました。
翌2013年の春、足利にワインを運び、ココ・ファーム・ワイナリーでワインに蔗糖と酵母を加え、すばやくビン詰し王冠で打栓。このティラージュビン詰(Tirage)後、ワインを暗く涼しい静かなセラーに寝かせました。ワインは一本一本のビンのなかで二番目の醗酵を行いながら複雑さを増し、酵母が働いてデリケートで細かな泡を生み出していきました。
そしてビン内二次醗酵後も、さらなる香りの複雑さと口当たりの厚みを引き出すため、ビン内でワインを酵母のオリと接触させながら、32ヶ月~48ヶ月熟成しました。
ワインがビン内熟成で最高の状態になった2016年冬、こころみ学園の園生たちが、毎朝毎晩ビンを45度ずつ回しルミアージュ(Remuage)を行い、オリをビンの口に集めました。その後、ビン口のオリを冷却機で凍らせ、王冠と同時にオリを取り除き(デゴルジュマン:Degorgement)、同質のワインを補って糖分を加えないナチュール(Nature)のドサージュ(Dosage)ビン詰を行い、コルクで打栓しミュズレとワイヤーをかけました。
この“北ののぼ”の特徴は、のびやかな酸、上品なコクにあります。つくる工程のほとんど全てが手作業でつくられたこのスパークリング・ワインをお楽しみいただければ幸いです。
テクニカル・データ | |
品種: | ピノ・ノワール90 % シャルドネ10 % |
畑: | 北海道余市登 木村農園 |
醗酵: | 房のままプレス。 フリーラン果汁のオリを軽く沈めた後、野生酵母にてステンレス・タンクで醗酵。 |
熟成: | 選抜酵母でのビン内二次醗酵をへて、さらに32ヶ月~48ヶ月酵母のオリと接触させながら熟成を待った。 |
ビン詰: | ビン詰日: 2013/05/15, 16(ティラージュ) 2016/01/29, 3/23, 24, 5/13, 7/7, 8, 11 2017/5/30, 6/5(デゴルジュマン)アルコール:11.2 % 酸度:1.04 g/100 ml 残糖:0.10 % |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
「2012北ののぼ」は、シャンパーニュ方式によるスパークリング・ワイン。 りんごやアプリコット、シトラスなどの果実の他に、カスタード、クリーム・ブリュレといった香りを感じる。口に含むと、りんご、レモンなどのフルーツ、フレッシュな酸と程よいコク、みずみずしさがある。ほのかな渋みとミネラルを感じる、流れるような後味が心地よい。 |
料理との相性: | 生牡蠣、真鯛の刺し身、キャビア、グラタン、フォアグラのテリーヌ、フレッシュチーズ |
飲み頃: | 現在から1~2年後:熟成により深い麦藁色となり、まろやかに成長するだろう。 |
ワインと食とSakeの情報誌ヴィノテーク2017年7月号 田崎真也さんのテイスティングコメントより
黄金色やトパーズを含んだ濃いイエローの色調、気泡のきめは細やか。香りは複雑性があり、ドライフラワー、いちじくなどのドライフルーツ、ヘーゼルナッツに蜂蜜や焼いたジンジャーブレッド、スモーク香やヨード香などが調和。味わいは柔らかくドライな印象から、しっかりとした酸味とミネラル感が広がり、泡の刺激はなめらかさを与え、余韻にもミネラル感が長く持続する。パルミジャーノ・レッジャーノや熟成させた生ハムなどに。 |
2017/7/3
●2012 北ののぼワイン・データシートPDF(プリントに適しています)