“こころみシリーズ”は可能な限りベストなワインを造ろうという私たちの新しい試みです。この“こころみシリーズ”のひとつ「田島川右岸」の葡萄が生まれた畑は、足利の米所といわれる北郷地区田島町にあります。田島川の両岸に広がる水田地帯、その右岸の田んぼの中にある小さな葡萄畑です。田んぼの中に葡萄畑! なぜ?
21世紀になった頃、高齢になったこころみ学園の園生たちが、歩いていける平らな葡萄畑が必要になりました。しかし、こころみ学園周辺の平らな農地といえばそのほとんどが水田です。平らな水田は管理しやすいのですが、水はけが良くありません。そこでこの田島川の右の岸辺にある水田で良い葡萄をとるためのチャレンジがはじまりました。まず水を溜める土の層を壊し、暗渠(あんきょ=地中に埋めた排水路)を入れ排水を良くしました。次に緑肥作物といわれる草花を育て、それを刈り倒し鋤きこむことで、土壌養分や土壌微生物を増やして畑を整えました。結果、とても良い肥料分と土の構造になり、2002年に植樹した世界的にも珍しいヴィニョール種、トラミネット種の葡萄がバランスよく育つようになりました。
今回の件で、栽培に適した場所を探すことも大切ですが、作物の種類に応じて土地の環境を適したものにつくりかえる方法もあるということを改めて思いました。良いワインをつくるために、長い時間をかけてその場所を葡萄に適したものにかえていく。こころみ学園の農夫や栽培スタッフの情熱がつまったワインを味わってみてください。
テクニカル・データ | |
品種: |
ヴィニョール 91.7% トラミネット 8.3% |
畑: | 栃木県足利市田島 こころみ学園 |
収穫: |
2016/9/2 (ヴィニュール) 2016/9/5 (トラミネット) 収穫時の糖度 約20.9°Brix(平均) |
醗酵: | 房全体をやさしくプレスして得られた果汁をステンレスタンクに入れ、野生酵母にて約16~22℃の温度で約40日間ゆっくりと醗酵させた。 |
熟成: | ステンレスタンクにて7ヶ月熟成。 |
瓶詰: |
オリ引き後、清澄せずに無ろ過でビン詰。 ビン詰日: 2017/05/26 本数: 523本(750ml) アルコール: 12.1 % 酸度: 0.70 g/100 ml 残糖: 0.35 % |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
ライム、夏みかん、パイナップルの香りに、白桃やライチのような華やかさもある。口当たりは、とろみを感じ、厚みのある味わいの中に、きりっとした酸味が強く印象を残す。グレープフルーツの皮のような苦味が後味を引き締め、次の杯を勧める。 |
料理との相性: | 海老の生春巻き、青椒肉絲、ジャンボン・ペルシエ、コリアンダーや香草を使ったベトナム料理、パッタイ、リコッタなどのフレッシュチーズ |
飲み頃: | 温度の違いで、印象が変わる。すっきりとした印象が好みなら、よく冷やす(冷蔵庫温度10℃以下)ことをおすすめする。4、5年ぐらい経過すると、落ち着いてきて、よりまろやかになるだろう。 |
●2016 田島川右岸ワイン・データシートPDF(プリントに最適です)