ここ北関東・足利の夏は暑い、とにかく蒸し暑いです。一般的に、葡萄は暑すぎる日が続くと果実に含まれる酸が減って、病気にかかりやすく、特に白ワインは平坦な味わいになってしまいがちです。
そうはいっても、ココに生きる葡萄も私たちも、引っ越すわけにはいきません。こころみ学園では、20世紀から21世紀にかけて、猛暑や豪雨などの気候変動に負けない葡萄を造ること、北関東の気候にあった適地適品種の元気なワイン用葡萄をつくることはみんなの願いでした。
そんな願いを実現すべく、1990年頃から、世界各地の産地を調べ訪れ、実際にテイスティングする旅がはじまりました。そしてとうとう、フランスの南西部スペインとの国境にほど近い、ピレネー山脈の麓でこのプティ・マンサンに出会うことができたのです。ポーの町に滞在して畑を訪れると、このジュランソンの地でつくられるプティ・マンサンのワインは、驚くほどの凝縮感と余韻の長さを持っていました。強い酸味に対し、味わいのバランスをとるために、甘さをしっかり残した原産地のワイン。
足利ではきっと酸味が適度に残る葡萄になり、それなりにバランスのとれた白ワインになるのではないか・・・。そんな予測から2006年、私たちはプティ・マンサンの栽培を始めました。
そして葡萄の樹も順調に生育し、足利の暑さにも耐え美味しい酸を残したまま、トロピカルな雰囲気もあるよく熟した果実を収穫できるようになりました。私たちは、できあがったワインにもこれからの可能性にも大いに期待しています。年ごとに異なる味わいをぜひお楽しみください。
テクニカル・データ | |
品種: |
プティ・マンサン 99% グロ・マンサン 1% |
畑: | 栃木県足利市田島、佐野市赤見 こころみ学園 |
収穫: |
2021/09/15, 17, 18, 23 収穫時の糖度(平均)約21.0°Brix 収穫方法:手摘み |
醗酵: | 房ごと葡萄をやさしくプレスしてステンレスタンクに入れ、葡萄の香りを逃がさないように約18℃で4,5日間、その後、樽に移して約2~3週間、野生酵母で醗酵させた。その後、野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック醗酵)を続ける。 |
熟成: | オークの木樽で約9カ月熟成。 |
瓶詰: |
澱引き後、清澄せず無濾過でビン詰。 ビン詰日:2022/06/24 本数:1,561本(750ml) アルコール:11.8% 酸度:7.3 g/L. 残糖:2.6 g/L. |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
りんご、かりん、パイナップルに加え、カモミール、発酵バター、蜂蜜やドライアプリコットの香り。口に含むと質の良い豊富な酸味としっかり凝縮した風味が、高いレベルで調和している、火打石など硬質な印象や旨味もあり長い余韻が続いていく。 |
料理との相性: | 寒平目と柑橘のカルパッチョ、蕪のたき合わせ、白子のすり流し、葉山椒の佃煮、ホンモロコ揚げ、海老芋のおかきあげ、サザエのリゾット、甘鯛のクルスティアン、クネルリヨネーズ、トムヤムクン、ミモレット・ジュンヌ、クレープシュゼット、マロンクリームのミルフィーユ |
飲み頃: |
2022~2026年は、フレッシュな酸味と果実味のある味わいが続く。熟した香りを楽しむ為、大きめのグラスでゆっくりと温度変化を楽しみながら味わうことをお勧めする。 2027年~2032年は、熟成により果実の香りが落ち着き、香ばしさや凝縮感が増して味わいの向上が期待できる。 |
2022/11/14
●2021 プティ・マンサンワイン・データシートPDF(プリントに最適です)