こころみ学園の葡萄畑では、1958年の開墾当初から、20世紀初頭の著名な葡萄栽培家川上善兵衛氏によって開発された日本固有の葡萄品種、マスカット・ベーリーAを育ててきました。そして現在は、栽培歴60年の経験を生かして、3つの自家畑・・・こころみ学園の葡萄畑山頂の開拓園と、1980年代に佐野市赤見に開墾した葡萄畑と、東北大震災の後、2012年に開いたテラスヴィンヤードでマスカット・ベーリーAを栽培しています。テラスヴィンヤードは、南〜南西面に開かれた葡萄畑で、表土が40㎝しかなく、水はけのよい葡萄畑です。また赤見の葡萄畑も同じように、南西向きの山の急斜面にあります。どちらの畑も似た特徴を持つためでしょうか、一般的なマスカット・ベーリーAと比べて粒が小さい葡萄から、よい花の香りのワインをつくることができました。そこで2018年は、こころみ学園開拓園の葡萄からつくられた「第一楽章」と分けてブレンドし、ビン詰してみました。
「2018第二楽章」には豊かな花の香り、スパイス、果実など品種の特徴が十分に表れています。このワインは熟した果実の味わいと複雑さを大切に、清澄・フィルター処理を一切行なっていません。このワインをお飲みくだされば、いろいろな楽曲の第二楽章に、たおやかな名曲が多いことを思い出していただけることでしょう。
テクニカル・データ | |
品種: | マスカット・ベーリーA 100% |
畑: | 栃木県足利市田島、佐野市赤見 こころみ学園 |
収穫: |
2018/10/02, 07, 08, 09, 10 収穫時の糖度(平均)約21°Brix |
醗酵: | 2つの方法で野生酵母により醗酵させた。1つ目は、葡萄を一部潰して投入し、残りは全房でステンレスタンクに入れ、静置した状態で自重により葡萄がつぶれ、徐々に醗酵するよう促す。醗酵により出てきたアルコールによって果皮からの成分が程よく抽出されたことを確認後、プレス。2つ目は、葡萄を約28°Brixまで乾燥した後、ステンレスタンクへ投入した。約3週間後プレスした。その後、古樽内で野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック醗酵)を続ける。 |
熟成: | フランス産オークの古樽で約10カ月半熟成。 |
瓶詰: |
オリ引き後、清澄せず無濾過でビン詰。 ビン詰日: 2019/09/12 本数: 1,423 本 (750ml) アルコール: 12.0% 酸度: 0.61 g/100 ml 残糖: 0.15% |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
ブラックベリー、ザクロ、イチゴジャムなどの果実やクローブ、フェンネル、キルシュの香りに、腐葉土や小豆、濡れた石のようなニュアンスも感じられる。口当たりは上品で、溶け込んだタンニンとフレッシュで伸びのある酸が凝縮感をもたらせる。複雑な香りがバランスのよい旨味とともに広がっていく。 |
料理との相性: | 生ハムと小蕪のサラダ、切り干し大根、いぶりがっこクリームチーズのせ、バーニャカウダ、椎茸のアヒージョ、メカジキのグリル、足利産トマトとトリッパの煮込み、すき焼き、マリナーラ、河豚の唐揚げ、焼き松茸、銀杏串、イチジクとフルムダンベールのロースト |
飲み頃: | 2020~2023年 フレッシュな果実味のある味わいが続く。2024~2026年 熟成により果実の香りが落ち着き、旨味や凝縮感が増して味わいの向上が期待できる。 |
2020/03/20
●2018 第二楽章ワイン・データシートPDF(プリントに最適です)