第一楽章は20世紀初頭の著名な葡萄栽培家川上善兵衛氏によって開発された日本固有の葡萄品種マスカット・ベーリーAからなる赤ワインです。「2010第一楽章」の原料となった葡萄は急斜面の葡萄畑の山頂の「開拓園」と1982年に開墾された佐野市の「赤見葡萄畑」で大切に育てられました。真に個性豊かなワインとするため、非常な手間をかける農作業に続いて収穫も完熟を待って最後の最後に行われました。醸造場では野生酵母による醗酵も自家畑の赤ワインとしては最も早い1996年から行われています。伝統と革新の技術を取り入れ、熟した果実の味わいと複雑さを持つ自然のままのワインに仕上げるため、清澄・フィルター処理を一切行なわず、人為的に手を加えることを最小限に抑えてビン詰めしました。若いうちは苺やコットンキャンディなど品種の特徴が目立っていましたが、山の貯蔵庫の奥で10年間の時を静かに過ごした「2010第一楽章」は、カドが取れて複雑さとバランスを増しています。時間だけが造ることのできる熟成した日本の赤ワインをお楽しみいただければ幸いです。
テクニカル・データ | |
品種: | マスカット・ベーリーA 100% |
畑: | 栃木県足利市田島、佐野市赤見 こころみ学園 |
収穫: |
2010/11/2,3,4,10,11 収穫時の糖度: 20.95Brix |
醗酵: | 除梗し軽く破砕して、小型のタンクへ移す。1日1回のピジュアージュをおこないながら、徐々にマストを温めてゆく。2、3日すると野生酵母による発酵が始まる。発酵は高めの温度ですすみ、最高で33℃にもなり、残糖がなくなるまで続く。注意深くピジュアージュをおこないながら、十分な色素と風味を抽出する。おおよそ10日間醸した後、マストを搾り、ワインを皮と種から分ける。その後、小樽内でMLFを続ける。 |
熟成: | フランス産オークの古樽で1カ月熟成した後、ステンレスタンクにて12カ月熟成。 |
瓶詰: |
澱引き後、清澄・濾過処理なしでビン詰。 ビン詰日: 2011/12/23 本数: 2,124本 (750ml) アルコール: 11.1% 酸度: 0.457g./100 ml. 残糖: 0.19% |
このワインについて | |
テイスティング・コメント: | イチゴやフランボワーズなどの香りと樽由来のバニラ、アーモンドのニュアンスもほのかに感じる。酸味は穏やか、ぎゅっと詰まった果実味と滑らかな口当たりで、タンニンが溶け込んでいる。熟成は程よく進んでいて、華やかな果実味とミネラル感のあり、きりっとしまっていて飲みごたえを感じる。 |
料理との相性: | うなぎのかば焼き、鴨の治部煮、ビーフ・シチュー、地鶏と鶏モツのすき焼き、イノシシ鍋、強い風味のチーズ(ウォッシュタイプ) |
飲み頃: | 現在、飲み頃。2025年頃まで保存状態によっては、適切な熟成により複雑味と柔らかさが増し、まろやかで素晴らしいまとまりのあるワインに成長するだろう。 |
2020/06/04
●2010 第一楽章ワイン・データシートPDF(プリントに最適です)