ココ・ファーム・ワイナリーの秋、毎年一番初めにリリースされるヌーボー(新酒)がこの「のぼっこ」。
セパージュ(品種)は、日本の山葡萄から澤登晴雄氏によって開発された小公子種です。
2022年の収穫は、猛暑で有名な埼玉県熊谷市にほど近い、比企郡滑川町の江南愛の家(福祉施設)の葡萄畑からはじまりました。8月1日、こころみ学園の園生達が収穫のお手伝いに出かけた葡萄畑で目にしたのは、ムクドリに食べられた小公子の房でした。鳥害はムクドリだけではないのかもしれません。自然の脅威が台風や感染症だけでないことを知らされた2022年の初収穫でした。
江南愛の家の葡萄畑で鳥害を受けなかった部分は、少量でしたがなかなか品質のよい葡萄でした。そして、猛暑や一日の気温差で有名な山形県上山の契約栽培農家、尾形さんの小公子の力強い応援を得て「2022のぼっこ」を造ることができました。尾形さんの畑では早い梅雨明けの後、収穫まではやや雨の多い天気が続きましたが、平年並みかそれ以上の品質の小公子を収穫することができました。
醸造場では葡萄を房ごと搾り、低温で野生酵母により醗酵させ、その後さらに温度を落としました。よりピュアに造るため酸化防止剤(亜硫酸塩)を加えず、ワインを冷やすことによってフレッシュな果実味や綺麗な酸、醗酵中にできた二酸化炭素の泡を残しました。ジューシーさをお楽しみいただくため無清澄・無濾過でビン詰めした、いわゆるペティアン・ナチュール(ペットナット)です。
今注目されているペットナットを、私たちは「のぼっこ」という名前で、2004年から造り続けています。ヴィンテージや温度によって、泡の程度が異なり、開栓時に泡が噴き出すことがありますので、よく冷やして静かに王冠を開けてください。「2022のぼっこ」は、紫がかった赤、酸がきれいな溌剌とした発泡性のペットナットです。日本のヌーボーとしてラフにお楽しみいただけると嬉しいです。
テクニカル・データ | |
品種: | 小公子 100% |
畑: | 山形県上山 尾形畑 埼玉県比企郡滑川 江南愛の家 |
収穫: | 2022/08/22~24(山形県) 2022/08/01(埼玉県) 収穫時の糖度(平均)約20.9°Brix 収穫方法:手摘み |
醗酵: | 葡萄は房ごと搾り、ジュースをステンレスタンクに入れ、約15℃~20℃の温度で野生酵母により醗酵させる。醗酵後、状況を確認しながら澱引きを数回行うことで、果実の香りをよりクリアに引き出す。 |
瓶詰: | 無清澄・無濾過でビン詰。 ビン詰日:2022/09/16 本数:1,999本(750ml) アルコール:11.5% 酸度:8.1g/L. 残糖: 2.9g/L. |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
色合いは明るいルビー色、香りはフランボワーズやザクロの赤い果実に、シナモンや白檀、ヨーグルト、スモークを複雑に感じる。味わいは穏やかな泡に、華やかな果実味とフレッシュな酸がうまく溶け合う。余韻に澱の旨味とほのかな苦みが続いていく。 |
料理との相性: | いぶりがっこチーズ、厚揚げ豆腐、茄子と茗荷のお浸し、鰹の藁焼き、ちくわの磯辺揚げ、牡蠣フライ、手羽元と大根の甘辛煮、鴨肉のロースト ベリーソース、ラム肉のスパイシー餃子、鶏レバーの生姜煮 |
飲み頃: | 2022~2024年までフレッシュな果実味のある味わいが続くだろう。酵母が元気なため、泡が噴き出すことがあるので、氷水などでしっかり冷やし、揺らさずゆっくりと開栓する。 |
2022/10/11
●2022 のぼっこワイン・データシートPDF(プリントに最適です)