“こころみシリーズ”は可能な限りベストなワインを造ろうという私たちの新しい試みです。
フランス南西部原産のプティ・マンサンを足利で育てて十数年、一年一年この土地におけるプティ・マンサンがどのような性格なのかを知るために、この葡萄と対話を進めてきました。初めは果実の風味が溢れる果汁から白ワインをつくりました。次にこころみシリーズとして、皮の味わいに注目したアンバーワイン(オレンジワイン:プティ・マンサンF.O.S.)をつくってみました。それでもまだ私たちは十数回ワインをつくっただけで、プティ・マンサンを十分理解できたようには感じていません。もっと知りたい。注目しきれていない性格がある。そうして新たなこころみを続けています。
このプティ・マンサン スパークリングは、プティ・マンサンの酸に注目したワインです。暑い足利の土地でも十分な酸と高すぎない糖度をあわせもった葡萄は、スパークリング・ワインに重要な性格のひとつを満たしているといえます。しかし、力強い果実の風味を持つプティ・マンサンは、シャンパーニュで育つシャルドネやピノ・ノワールのような繊細な味わいとは大きく異なっています。そこで食前酒に使用されるスパークリング・ワインとは真逆の、フルボディの食中酒としてのスパークリング・ワインづくりを目指しました。
果実由来の硬質感のある酸味、果実の風味、ビン内醗酵やビン内熟成によるナッティな香ばしい香りと厚みのある旨味。足利の自家畑のプティ・マンサン100%、野生酵母のみでビン内醗酵させ、(通常ビン内二次醗酵のために使われる)培養酵母は加えていません。続くこころみにどうかお付き合いください。
テクニカル・データ | |
品種: | プティ・マンサン100 % |
畑: | 栃木県足利市田島 こころみ学園 |
収穫: |
2017/09/07, 20 収穫時の糖度(平均):約21°Brix 収穫方法:手摘み |
醗酵: | 房ごと葡萄をやさしくプレスして、ステンレスタンクに入れる。葡萄の香りを逃がさないように18℃位で約2~3週間、野生酵母で醗酵させた。 |
熟成: | 澱引き後、酵母を添加せずビン詰し、ビン内発酵を行いながら約39カ月間熟成。 |
瓶詰: |
ビン詰日: 2017/10/03(ティラージュ) 2021/01/27 (デゴルジュマン) 本数: 528本 アルコール: 12.1 % 酸度: 12.6 g/L 残糖: 2.1 g/L |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
色合いは輝きのあるゴールド、瓶内発酵由来の細かな泡が勢いよく立ち昇る。青りんご、洋梨、シトラスの爽やかな香りにドライアプリコットや蜂蜜など熟した印象も加わり複雑。味わいはフレッシュで伸びのある酸と共にローリエや生姜などのハーブ、澱からくる旨味がアクセントになり心地よい余韻がゆっくりと続いていく。 |
料理との相性: | クレソンサラダ、小松菜の煮びたし、マッシュルームのアヒージョ、おろしポン酢、百合根饅頭、ふぐ白子豆腐、焼き蟹、鰻の白焼き、甘鯛の松笠焼き、太刀魚のムニエル、蒸し鮑肝ソース、さやいんげんの天婦羅、鱧の湯葉巻き揚げ、鱒寿司、杏のコンポート |
飲み頃: | 2021年~2027年 冷蔵庫や氷水でよく冷やして、すっきりとした味わいを楽しんだら、ゆっくりと温度を上げつつ、変化も楽しんでほしい。温度が上がると青苦みを感じるが2023年頃からは一体感が増し、味わいにも熟成感が出てくる。 |
2021/06/04
●2017 プティ・マンサン スパークリングワイン・データシートPDF(プリントに最適です)