こころみ学園の葡萄畑では、1958年の開墾当初から、マスカット・ベーリーAを育ててきました。マスカット・ベーリーAは、20世紀初頭の著名な葡萄栽培家 川上善兵衛氏によって開発された葡萄品種で、2013年には、OIV(国際ブドウ・ワイン機構)にワイン用葡萄品種として登録されました。
ココ・ファーム・ワイナリーでは、この日本固有の葡萄品種マスカット・ベーリーAを60余年育ててきた経験を生かして、現在、3つの自家畑でマスカット・ベーリーAを栽培しています。3つの葡萄畑とは、こころみ学園の葡萄畑山頂の開拓園と、1980年代に佐野市赤見に開墾した葡萄畑と、東日本大震災の後2012年に開いたテラスヴィンヤードです。この3ヶ所の葡萄畑は、それぞれに特徴的な葡萄を実らせ、一言で表現するなら開拓園は鉱物的、赤見の葡萄畑は柔らかさや優しさ、テラスヴィンヤードはその中間といえるでしょう。場所ごとにまた年ごとに異なるそれぞれの葡萄の声に耳をすませて、「葡萄がなりたいワインになれるよう」、野生酵母や野生乳酸菌の力を生かして大切に醸造しています。
「2019第二楽章」は、2019年の10月、甚大な被害を及ぼした台風19号のあとに収穫されたテラスヴィンヤードのマスカット・ベーリーA 85%と、赤見葡萄園のマスカット・ベーリーA 15%から構成されています。台風被害に遭いながら、ワインには豊かな花の香り、スパイス、果実など品種の特徴が十分に表れています。熟した果実の味わいと複雑さを大切に、清澄・フィルター処理を一切行なっていません。このワインをお飲みくだされば、いろいろな楽曲の第二楽章に、たおやかな名曲が多いことを思い出していただけることでしょう。
テクニカル・データ | |
品種: | マスカット・ベーリーA 100% |
畑: |
栃木県足利市田島こころみ学園 栃木県佐野市赤見こころみ学園 |
収穫: |
2019/10/10, 15, 16, 17(足利市) 2019/10/15(佐野市) 収穫時の糖度(平均):約20.7°Brix |
醗酵: | 葡萄を手除梗後、ステンレスタンクに入れ約1週間低温状態を保持。その後、18℃で静置した状態で自重により葡萄がつぶれ、徐々に醗酵するよう促す。醗酵により出てきたアルコールによって果皮からの成分が程よく抽出されたことを確認後、プレス。古樽内で野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック醗酵)を続ける。 |
熟成: | フランス産オークの古樽で約6カ月熟成。 |
瓶詰: |
澱引き後、清澄せず無濾過でビン詰。 ビン詰日: 2020/06/11 本数: 2,243 本 (750ml) アルコール: 11.5% 酸度: 0.61 g/100 ml 残糖: 0.02% |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
イチゴ、ザクロ、ラズベリージャムに加えクローブ、フェンネル、キルシュの香り、腐葉土や小豆、濡れた石のようなニュアンスも感じ複雑、口当たりは上品で丸みのある溶け込んだタンニンとフレッシュで伸びのあるやや高めの酸が凝縮感、旨味と共に広がっていく。 |
料理との相性: | 生ハムと小蕪のサラダ、切り干し大根、いぶりがっこクリームチーズのせ、バーニャカウダ、椎茸のアヒージョ、メカジキのグリル、足利産トマトとトリッパの煮込み、すき焼き、マリナーラ、河豚の唐揚げ、焼き松茸、銀杏串、イチジクとフルムダンベールのロースト |
飲み頃: |
2020~2023年 フレッシュな果実味のある味わいが続く 2024~2027年 熟成により果実の香りが落ち着き、旨味や凝縮感が増して味わいの向上が期待できる。 |
2021/03/10
●2019 第二楽章ワイン・データシートPDF(プリントに最適です)