私たちは、世界各地のワイン産地を訪れる旅の間に、茜色の滋味深いワインに巡り会うことができました。イタリアのフリウリ地方やフランスのジュラ地方、そしてジョージアの生産者がつくる、渋く複雑でナチュラルな美味しさを持つオレンジ色のワイン。適地適品種の葡萄を探すなかで、その土地に古くから栽培されてきた葡萄がその個性を思う存分に発揮しているワインの有りようは、私たちを元気づけてくれました。
日本固有の葡萄・甲州種から造られた白ワインは、そのほとんどが淡い色で、軽く飲みやすいワインです。それゆえ葡萄自体も同じように、淡い色でソフトな味だと思われがちですが、実は甲州種の葡萄は渋味がありとても力強いのです。そんな甲州種の魅力を引き出したくて、2004年、私たちは甲州種から、可能な限り葡萄の香りと成分を抽出したワインをつくりはじめました。F.O.S.とはFermented on Skins(果皮の上で醗酵)の略。以来、この白ワインは優れた契約栽培家との信頼関係をもとに、毎年、赤ワインを造るように果皮や種を一緒に醗酵させ、試行錯誤を繰り返しながら造られています。「2017甲州F.O.S.」も、深い色、広がりのある複雑なアロマ、ここちよい渋みを有するワインで、最近ではオレンジワインに分類されることもあります。中華をはじめいろいろなお料理と思わぬ相性を見せる個性的なこのワイン、のんびりお楽しみくださいますように。
テクニカル・データ | |
品種: | 甲州 100% |
畑: | 山梨県甲州市勝沼 秋玉園東夢農場、芳王遊覧園、秋玉園東夢農場 |
収穫: |
2017/10/24,31(秋玉園東夢農場) 2017/10/25(芳王遊覧園) 2016/10/31(秋玉園東夢農場) 収穫時の糖度 約16.9°Brix(平均) |
醗酵: | 2つの方法で野生酵母により醗酵させた。1つ目は、赤ワインと同じように、葡萄を除梗しステンレスタンクまたは甕に入れ、1日2回ピジャージュしながら醸す。醗酵により出てきたアルコールによって果皮からの成分が抽出された後、プレス。2つ目は、葡萄を除梗し、3日間低温マセラシオンを行った。プレスした後、ステンレスのタンクで醗酵。 |
熟成: | 醗酵終了後、約2割を樽で、約8割をステンレスタンクで、6~7ヶ月熟成。 |
瓶詰: |
オリ引き後、清澄せず無ろ過でビン詰。 ビン詰日: 2018/06/14 本数: 10,048本(750ml) アルコール: 11.2 % 酸度: 0.45 g/100 ml. 残糖: 0.10 % |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
色合いは、クリアで明るいオレンジ色。焼いたりんご、あんず、びわ、みかん、紅茶、オレンジピールの香り。口中は、みかん、アップルティー、オレンジピールの風味、軽やかな酸味とやわらかい渋味が心地よく、穏やかな余韻がじんわりと続く。 |
料理との相性: | ローストチキンを塩で、生ハムと柿、モロッコ風クスクス、アスパラとベーコンの炒め物、からすみ大根、イカと魚介のパエリア、コロッケ、ホワイトスティルトン・アプリコット、ミモレット、スカモルツァ・アッフミカータ、オレンジ風味のフィナンシェ、金柑のコンポート |
飲み頃: | 2017年は、白ワイン的要素が多いので、冷やして飲んでも美味しい。温度を上げるとまろやかさが増してくる。向こう2年ほどは、この印象が続くだろう。いい状態で、5年ほど熟成させると、一体感が出てきてまろやかになるだろう。 |
2018/9/10
●2017 甲州F.O.Sワイン・データシートPDF(プリントに最適です)