タナ種は日本ではあまりよく知られていません。それは栽培醸造スタッフがそれを栽培したいと言ったとき、販売スタッフがたいへん驚くくらい・・・フランス南西部では有名でも、日本では誰も知らないような葡萄品種だったからです。日本で栽培されたタナ種からできたワインをどのように売ったらよいか、販売スタッフは期待しつつも戸惑っていました。
海外の有名なワイン産地と比べたとき、日本の独特な土壌と気候は私たちを困惑させます。私たちは辛抱強く話しあいました。そしてどんな葡萄品種を栽培するかは単純なことで「日本でうまく育つ品種こそが、私たちが栽培すべき品種」と考えるようになりました。こころみ学園のこころみはやってみること。世界中から日本に似た地域を探し、その地域から葡萄の木を持ってきて、自分たちの畑で育ててみることにしたのです。タナというフランス語の名称はタンニンに由来するといわれています。タンニンのここちよい渋みを持つタナ種の葡萄から、濃い色、芯、果実味、ストラクチャーを携えた日本ワインをつくることを楽しく思っています。
テクニカル・データ | |
品種: | タナ 100% |
畑: | 山形県上山 木村畑 79.8% , 佐竹畑 20.2% |
収穫: | 2015/10/7, 9(木村畑) 2015/10/25(佐竹畑) 収穫時の糖度 約22.5°Brix(平均) |
醗酵: | 完熟した葡萄を除梗し軽く破砕して、小型のタンクへ移す。1日2回のルモンタージュをおこないながら、徐々にマストを温めてゆく。3、4日すると野生酵母による醗酵が自然に始まる。醗酵は高めの温度ですすみ、残糖がなくなるまで続く。注意深くルモンタージュを続けながら、十分な色素と風味を抽出する。12~14日間醸した後、マストを搾り、ワインを皮と種から分ける。その後、小樽に移し野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック醗酵)を促す。 |
熟成: | オークの小樽で約14ヶ月半熟成 |
瓶詰: | オリ引きし、清澄・ろ過処理なしでビン詰。 ビン詰日: 2017/01/12 本数: 788 本(750ml ) アルコール: 13.0 % 酸度: 0.73 g/100ml. 残糖: 0.1 % |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
インキー、ブラックベリー、ラズベリー、ダークチェリー、革、ダスティな香りもある。まだ若々しく、漆黒のような色の濃さと芯のある味わい、それに負けていない酸味があり、上質なカカオのようなタンニンと舌触りがある。若々しいが、熟成できるポテンシャルを感じる、これからが楽しみなワインだ。 |
料理との相性: | メンチカツ、牛肉ときのこのバター醤油炒め、牛肉の赤ワイン煮込み、牛肉とゴボウの時雨煮、鰻の蒲焼、田舎風パテ、スモークベーコン、程よく熟成させたシェーブルやウォッシュタイプのチーズ、フォンダンショコラ、ザッハ・トルテなど、濃厚なチョコレート菓子 |
飲み頃: | すぐに飲むなら、大ぶりのグラスで空気に触れさせて、ゆっくり飲むことをおすすめする。まだ若々しく、渋みや固さが十分にあるので、飲み頃まではしばらくかかるだろう。いい状態で保管できたら10年ほどでエッジがオレンジ色になり、なめらかさとまとまりがでてきて、余韻も長くなるだろう。 |
2018/5/14
●2015 山のタナワイン・データシートPDF(プリントに最適です)