ケルナーは、ワイン用葡萄ガイド(著者:ジャンシス・ロビンソン、訳と発行:ウォンズ パブリシング リミテッド)によると、「現代ドイツの葡萄交配の大傑作」と書かれています。また、ケルナーは、他の品種のように交配種開発者の名ではなく、19世紀の酒の讃歌の作詞家でもあったドイツの詩人ケルナーに因んで名付けられたそうです。
この白ワイン用葡萄品種、ケルナーは、1969年にドイツで開発された品種で、現在では、ドイツ、オーストリア、南アフリカ、イギリス、そして日本では北海道で栽培されています。このこころみシリーズの「ケルナー」を育ててくださったのは、私たちが敬愛する契約栽培農家の北海道・余市の木村忠さん幸司さん親子。平年では、北海道の余市で栽培されるケルナーは、華やかな香りとさわやかな酸味が特徴のワインになります。しかし2013年は、収穫の時期に貴腐(果皮がボトリティス・シネレア[Botrytis cinerea] という菌[灰色カビ]に感染することによって糖度が高まり芳香を帯びる現象)が現れはじめ、貴腐混じりの収穫になりました。そこでこのチャンスを生かして、それらの貴腐混じりの葡萄を一緒に仕込んでみました。
結果は・・・お飲みになっていただければおわかりのように、とても上質なワインになりました。
南国を思わせるフルーツに加えて、貴腐葡萄を醗酵させた際に現れる蜂蜜のような香り・味が現れ、このワインに複雑さを与えています。
テクニカル・データ | |
品種: | ケルナー 100% |
畑: | 北海道余市郡余市町 木村農園 |
収穫: | 2013/11/01 収穫時の糖度: 23.2°Brix |
醗酵: | 房全体をやさしくプレスして得られた果汁をステンレスタンクに入れ、約16~20℃の温度で野生酵母で2ヶ月間ゆっくりと醗酵させた。 |
熟成: | 約15ヶ月ステンレスタンク貯蔵。 |
瓶詰: | 澱引き後、ろ過を行いながら瓶詰め。 瓶詰日: 2015/04/23 本数: 701本 (750ml) アルコール: 11.5 % 酸度: 0.518 g/100 ml 残糖:2.29% |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
「こころみシリーズ 2013ケルナー」は、かりん、ライム、リンゴ、マンゴスチンなどの熟した果実の香りと貴腐香を感じる。口当たりはパイナップルや白桃などのフルーツと蜂蜜の風味、ミネラルを感じる。やわらかい酸味、リッチな甘味とわずかな渋みが長い余韻を誘う。 |
料理との相性: | オマール海老と白桃のサラダ仕立て、野菜のピクルス、ラタトゥイユ、北京ダックのサラダキウイフルーツ添え |
飲み頃: | 現在から2025年頃まで:長期熟成が可能。円熟した奥深いワインとなるでしょう。 |
2015/08/22
●こころみシリーズ 2013ケルナー ワイン・データシートPDF(プリントに適しています)