2020年秋、8年前に収穫され野生酵母で醸造された「山のタナ」が、ほどよい熟成の時を迎え、蔵出しになりました。
当時も今も、タナ種は日本ではあまり知られていません。当時、栽培醸造スタッフが「タナ種を栽培してみたい」と言ったとき、販売スタッフは「ハリウッド・スターが自家用飛行機でフランス南西部の現地まで買いに行くようなワイン」という認識しかありませんでした。ソムリエさんやワインの専門家しか知らないような品種のワインをどのように売ったらよいか、期待しつつも戸惑っていたのです。
海外のワイン産地と比べたとき、日本の独特な土壌と気候は私たちを困惑させてきました。しかしタナ(タナット)を植えて、どんな葡萄品種を栽培すべきかは単純なことと気づきました。「日本でうまく育つ品種こそが、私たちが栽培すべき品種」なのです。フランス南西部マディラン地域から探し出してきたタナ種の葡萄はその名の通りタンニンが豊富で、今、素晴らしい飲み時を迎えています。
東日本大震災の復興への第1歩を歩み出した2012年、山に掘られた横穴の貯蔵熟成庫に寝かせた「2012山のタナ」を、熟成後の2020年、皆さまにご紹介できることをありがたく幸せに思っています。
テクニカル・データ | |
品種: | タナ 100% |
畑: | 山形県上山 南果連協同組合・佐竹 達夫、木村 昌男 |
収穫: | 2012/10/14,22 収穫時の糖度: 22.8Brix |
醗酵: | 完熟した葡萄を除梗し軽く破砕して、小型のタンクへ移す。1日2回のピジュアージュをおこないながら、徐々にマストを温めてゆく。3、4日すると野生酵母による醗酵が自然に始まる。醗酵は高めの温度ですすみ、残糖がなくなるまで続く。注意深くピジュアージュを続けながら、十分な色素と風味を抽出する。約10日間醸した後、マストを搾り、ワインを皮と種から分ける。その後、小樽に移し野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック発酵)を促す。 |
熟成: | オークの小樽で15カ月熟成。 |
瓶詰: |
瓶詰日: 2014/2/4 本数: 2,090 本(750ml) アルコール:11.9% 酸度: 0.637g/100ml. 残糖: 0.19% |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
ブラックチェリーや野生の黒イチゴのアロマに、枯れ葉や木炭、タバコなどのヴェジェタルが合わさった複雑な香りを感じる。味わいが滑らかで、熟成感を伴った細かい酸味が全体を支え長い余韻へと続いていく。 |
料理との相性: | ステーキ、スペアリブ、牛肉の燻製、トンポーロー、黒酢の酢豚、メンチカツ、炭火焼全般、メカジキのソテー バルサミコソース、ブルーチーズ、シェーブルチーズ |
飲み頃: | 現在、飲み頃。それ以降でも、熟成により口当たりが柔らかに広がる、ゆったりとしたまろやかで複雑なワインとなる。 |
2020/10/04
●2012 山のタナワイン・データシートPDF(プリントに最適です)