2020年夏、8年間の熟成を経て、「2012こころみノートン」を皆さまにお届けできることは、私たちにとって、特別な意味があります。ノートン種は限られた地域でのみ栽培されていた非常に珍しい品種です。独特な気候の日本で上手く育ち、且つおもしろい品種を探していたとき、私たちはこのノートン種に興味をもちました。多くの葡萄品種は、高温多湿で、夏に雨の多い地域では順調に育ちにくく、例えそのような状況でつくれたとしても、果実味がなく、色の薄い、水っぽいワインになってしまうと思われていました。しかし、私たちはアメリカ合衆国の東海岸のヴァージニアや中央部のミズーリ地域でこのことに当てはまらないワインを見つけました。そこでは日本より雨の多い気候にもかかわらず、ノートン種(シンシアナ種)で果実たっぷりの色の濃い印象的なワインをつくっていました。ノートン種なら日本でも上手く育つと思い、こころみ学園の畑で栽培しはじめました。醸造場では葡萄を、乾燥酵母でなく、健康で香り高い葡萄についた野生酵母で発酵させました。発酵後やさしく搾り、樽に入れ熟成させました。テイスティングで良いバランスの樽を選別しブレンドを決め、オリ引きし、清澄やろ過なしでビン詰めしました。より純粋に飾り気なくつくった2012年自家畑産のノートン種のワイン。熟成期間を経て飲み頃のノートン種のワインをお楽しみいただけることは望外の喜びです。
テクニカル・データ | |
品種: | ノートン 100% |
畑: | 栃木県足利市田島 |
収穫: | 2012/10/18 収穫時の糖度: 20.8oBrix |
醗酵: | 完熟したぶどうを除梗し軽く破砕して、小型のタンクへ移す。1日2回のピジュアージュをおこないながら、徐々にマストを温めてゆく。4、5日すると天然酵母による発酵が自然に始まる。発酵は高めの温度ですすみ、残糖がなくなるまで続く。注意深くピジュアージュを続けながら、十分な色素と風味を抽出する。約10日間以上醸した後、マストを搾り、ワインを皮と種から分ける。その後、小樽に移しマロラクティック発酵を促す。 |
熟成: | オークの小樽で6カ月半 熟成。 |
瓶詰: |
瓶詰日: 2013/5/24 本数: 1,155本(750ml) アルコール:11.0% 酸度: 0.727 g/100 ml 残糖: 0.15% |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
完熟した果実というよりは、ラズベリーやカシスなどのもぎたての赤いフルーツのニュアンスが特徴。香りはすみれやラベンダーなどの花、ピーマンや甘草などのグリーン的なニュアンス。硬さのある酸とがっしりとしたタンニンにより、濃縮感があり力強さも備えた印象。 |
料理との相性: |
スペアリブ、黒酢の酢豚、北京ダック、鴨肉のローストフランボワーズソース、 めかじきのソテーバルサミコソース レアチーズケーキとチェリーソース |
飲み頃: | 現在、飲み頃。2025年頃までは、熟成により、口当たりが柔らかに広がる、ゆったりとしたまろやかで複雑なワインとなるだろう。 |
2020/07/24
●2012 こころみノートンワイン・データシートPDF(プリントに最適です)