2021年冬、10年前に収穫され野生酵母で醸造された「陽はまた昇る」が、ほどよい熟成の時を迎え蔵出しになりました。この2011年、東日本大震災の年に収穫された「2011陽はまた昇る」はタナ種を主体にした赤ワインです。私たちは土地に合った葡萄品種を栽培することを、最良のワインを造る方法のひとつとして大切に考えています。タナ種はフランス南西部マディラン地方の主要な品種です。マディランでは、フランスの葡萄栽培地の中としては年間の雨量が多い場所にもかかわらず、この葡萄から色が濃く、果実味豊かで、渋味の強い長期熟成タイプの印象的なワインを数多く輩出しています。
私たちはこの葡萄なら日本でもうまく育つだろうと思い、まずはじめに足利にこの品種を植えました。その後、栃木以外の場所の可能性を探るべく、山形と長野の契約農家に栽培をお願いしたところ彼らにとってタナ種は初めての品種にもかかわらず、快く引き受けてくれました。そして、土地との相性もさることながら、彼らの経験と技術によって、素晴らしいワインができるようになりました。
私たちはこの葡萄の良さを生かすためシンプルな造りをこころがけました。東日本大震災から10年この赤ワインの優しい果実味や酸味、渋味の力強さ、10年の熟成の味わいをぜひお楽しみください。
テクニカル・データ | |
品種: | タナ:64% , カベルネ・ソーヴィニョン:36% |
畑: | タナ:長野県高山村、山形県上山、栃木県佐野市赤見、栃木県足利市田島、カベルネ:山形県上山 |
収穫: |
2011/9/30/, 10/1,2,3,21,26, 11/5(タナ) 2011/11/5 (カベルネ・ソーヴィニョン) 収穫時の糖度:22.0 oBrix(平均) 収穫方法:手摘み |
醗酵: | 完熟した葡萄を除梗し軽く破砕して、小型のタンクへ移す。1日2回のピジャージュをおこないながら、徐々にマストを温めてゆく。2、3日すると野生酵母による醗酵が自然に始まる。醗酵は高めの温度ですすみ、残糖がなくなるまで続く。注意深くピジャージュを続けながら、十分な色素と風味を抽出する。約二週間醸した後、マストを搾り、ワインを皮と種から分ける。その後、小樽に移しMLF(マロラクティック醗酵)を促す。 |
熟成: | オークの小樽で約17カ月熟成。 |
瓶詰: |
ビン詰日:2013/04/10 本数:6,329本(750ml) アルコール:12.3% 酸度:6.45g/L. 残糖:1.75 g/L. |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
ブルーベリー、チェリーなどのフルーツの香り、カカオやシナモンのような控えめなスパイスも香る。直線的で際立った酸味がしなやかな印象を与え心地よい苦みを感じる。中盤からスパイスの風味が広がり複雑味を伴う。熟成により、口当たりが優しくなりまろやかな印象。 |
料理との相性: | 牛肉の赤ワイン煮、ステーキなど牛赤身肉、ラムチョップ、スペアリブ、鶏肉と鶏モツのすき焼き、ブルーチーズ、鴨の燻製、サラミソーセージ |
飲み頃: | 現在、飲み頃。それ以降でも、熟成により口当たりが柔らかに広がる、ゆったりとしたまろやかで複雑なワインとなるだろう。 |
2021/02/03
●2011 陽はまた昇るワイン・データシートPDF(プリントに最適です)