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ワイン・データシート

2019 甲州F.O.S. ワイン・データシート

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私たちは世界各地のワイン産地を訪れる旅の間に、茜色の滋味深いワインに巡り会うことができました。イタリアのフリウリ地方やフランスのジュラ地方、そしてジョージアの人たちがつくる渋く複雑でナチュラルな美味しさを持つオレンジ色のワイン。適地適品種の葡萄を探すなかで、その土地に古くから栽培されてきた葡萄がその個性を思う存分に発揮しているワインの有りようは、私たちを勇気づけてくれました。当時、日本固有の葡萄・甲州種から造られた白ワインは、そのほとんどが淡い色で軽く飲みやすいワインでした。それゆえ葡萄自体も同じように淡い色でソフトな味だと思われがちでしたが、実は甲州種の葡萄は渋味がありとても力強いのです。そんな甲州種の魅力を引き出したくて、2004年から私たちは甲州種から可能な限り葡萄の香りと成分を抽出したワインを造りはじめました。
F.O.S.とはFermented on Skins(果皮の上で醗酵)の略。2004年以来、このF.O.S.は優れた契約栽培家との信頼関係をもとに、毎年(赤ワインのように)果皮や種を一緒に醗酵させ、試行錯誤を繰り返しながら造っています。名誉なことに「2017甲州F.O.S.」は「モーニングNo.39」のマリアージュ~神の雫 最終章~(作:亜樹直 画:オキモト・シュウ)にも登場させていただきました。この「2019甲州F.O.S.」も、深い色、広がりのある複雑なアロマ、ここちよい渋みを有しています。アンバーワインにも分類され、多彩なお料理と思わぬ相性を見せるこのワイン、どうぞのんびりお楽しみくださいますよう。

テクニカル・データ
品種: 甲州 100%
畑: 山梨県甲州市 勝沼秋玉園東夢農場
山梨県山梨市 カノハタ畑、雨宮畑
山梨県甲州市 塩山小川畑
収穫: 2019/10/02, 09 ,16 ,22

収穫時の糖度(平均):約16.5°Brix
収穫方法:手摘み

醗酵: 3つの方法で野生酵母により醗酵させた。1つ目は、葡萄を除梗し、ゆっくり醗酵させるために破砕はせずにタンクへ。果粒内でのマセラシオンカルボニックとアルコール醗酵が終わり十分に成分を抽出した後、プレス。2つ目は葡萄を除梗破砕し、ステンレスタンク内で2~10日間スキンコンタクトし、プレス。その後、ステンレスタンクで醗酵。3つ目は葡萄をプレスし、ステンレスタンクまたは甕で果汁を醗酵後、ブレンドした。
熟成: 醗酵終了後、約6割をステンレスタンク、約3割を樽、約1割をプラスチックタンクで8~9カ月熟成。
瓶詰: 澱引き後、清澄せず無濾過でビン詰。ビン詰日:2020/09/09   本数:10,755本(750ml)
アルコール:11.7 %   酸度:0.47 g/100 ml.    残糖:0.10 %

 

このワインについて
テイスティング・
コメント:
蜜柑や柿、黄桃に加え、ウーロン茶やシナモン、トーストや炭の香り。味わいは、例年と比較すると軽やかな印象。しなやかな酸にフェノールからくる丸みと渋みが、奥深い旨味として感じられる。
料理との相性: 生ハムと柿、スモークサーモンとクリームチーズのマリネ、いぶりがっこ、里芋の煮付け、香箱蟹、鰻の白焼き、雲丹のクリームパスタ、鰆のグリエ トマトオリーブソース、タンドリーチキン、おでん、ブイヤベース
飲み頃: 2021~2026年 果実味、酸味、タンニンなど立体的な味わいを楽しめる。渋みが支配的に感じる時は少し温度をあげるか、抜栓後、時間が経過するとまろやかさや果実感、甘みが増してより楽しめる。2027年~ 熟成によりドライフルーツの香りや香ばしさなどが現れ、落ち着きある印象へ変化する。いい状態で保管できれば10年程度の長期熟成も可能。

2020/12/24

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