タナ種の葡萄は、フランス南西部やワイン専門家の方たちの間では有名でも、日本ではあまりよく知られていません。海外の有名なワイン産地やワイン品種と比べたとき、日本の独特な土壌と気候は私たちを悩ませます。どんな品種を栽培すべきか、長い間、試行錯誤を重ね、リスクも覚悟しなければなりません。でもこころみ学園のこころみはやってみること。私たちは世界中の日本に似た地域の葡萄を自分たちの畑で育ててみて「日本でうまく育つ品種こそが、私たちが栽培すべき品種」と単純に考えるようになりました。フランス南西部マディラン地域から探しだしてきたタナ種はその名のとおりタンニンが豊富です。タンニンのここちよい渋みを持つ日本生まれのタナ種から、濃い色、しっかりした芯、果実味、ストラクチャーなどを携えた日本ワインを造ることを今はみんなで楽しんでいます。
そして、2018年はタナの個性が最もよく表現された日本の赤ワインを造れたことに感謝しています。
テクニカル・データ | |
品種: | タナ 100 % |
畑: |
山形県上山 佐竹畑、木村畑 長野県高山村 佐藤農園 |
収穫: |
2018/10/04, 05, 20
収穫時の糖度(平均)約20.8°Brix |
醗酵: | 熟した葡萄を除梗し軽く破砕して、小型のタンクへ移す。ルモンタージュを行いながら、徐々にマストを温めてゆく。3、4日すると野生酵母による醗酵が自然に始まる。醗酵は高めの温度ですすみ、残糖がなくなるまで続く。注意深くルモンタージュを続けながら、十分な色素と風味を抽出する。約2週間醸した後、マストを搾り、ワインを皮と種から分ける。また一部の葡萄はMC(マセラシオンカルボニック)を約2週間行った後プレスした。その後、木樽に移し野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック醗酵)を促す。 |
熟成: | オークの樽で約14カ月熟成 |
瓶詰: |
澱引き・ブレンドし、清澄・濾過処理なしでビン詰。 ビン詰日:2019/12/26 本数:1,468 本(750ml) アルコール:11.7 % 酸度:6 g/L. 残糖:2 g/L. |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
色合いは黒みがかったガーネット。香りはダークチェリーやブルーベリーの果実に、カカオやナツメグのスパイス、なめし皮、トーストに加え、葉巻やインクのニュアンスも感じる。口当たりはタイトで酸味により引き締まった印象。黒い果実の若さと熟成香が共存していて、余韻に滑らかなタンニンを感じる。 |
料理との相性: | 焼サバと花山椒の押し寿司、手羽元のすっぱ煮、みそ田楽、牛肉とゴボウの時雨煮、鰻の蒲焼き、サザエのつぼ焼き、コックオバン、ブッフ・ブルギニヨン、バターチキンカレー、ジンギスカン、フォンダンショコラ |
飲み頃: |
2021年~2025年 果実主体の風味が続くだろう。 2026年から熟成によりタンニンがより細かくなり、旨味や香ばしさ主体の味わいへと変わっていく。大きめのグラスでゆっくり時間をかけて楽しむワイン。 |
2021/05/17
●2018 山のタナワイン・データシートPDF(プリントに最適です)