シルヴァーナーは500年以上の歴史あるオーストリア原産の品種で、中央ヨーロッパに広く植えられています。両親はハンガリー土着品種のエースターライヒッシュ・ヴァイスと、イタリアとオーストリアにまたがるチロル地方原産のトラミナー(サヴァニャン)。熟しても黄緑色の果実は、早熟で酸が高く、中性的な味わいのワインとなり、ともすると個性がないと評価されたこともありました。しかし、この純白のキャンバスのような特徴こそが、テロワールの個性をワインに反映させることを可能にしたのです。2006年にフランスのアルザス単一畑ゾッツェンベルクのシルヴァーナーが、アルザス・グラン・クリュに指定されたことは品種の持つ価値がようやく評価されたものといえるかもしれません。
この昔からあるシルヴァーナーに対し、赤ワイン品種のトロリンガー(スキアバーグロッサ)とリースリングを親に持つケルナーは、現代ドイツの葡萄交配の傑作と言われています。
荒さんは2010年新規就農の若い農家ですが、レベルの高い余市の農家さん達にもまれながら、栽培技術を磨き、質の高い生食用葡萄をつくってきました。やがてワインの魅力に取り付かれ、ワイン用葡萄の栽培も思い立ち、ココ・ファームの契約栽培農家として、私たちとともに歩んでくださっています。余市湾を望むゆるやかな斜面の荒さんの葡萄畑は、内陸からの乾いた風が通り抜け、きれいな酸を保ったまま葡萄が熟します。その畑で採れたシルヴァーナーと少量のケルナーをブレンドすることで、シルヴァーナーによる畑の味わいに、ケルナーの個性がアクセントとなったワインが生まれました。冷涼な気候のヨーロッパに、昔からあるシルヴァーナーと現代の交配種であるケルナー。この白ワインの涼やかな味わいは、これからの季節に、穏やかな味わいの料理と好相性です。
テクニカル・データ | |
品種: |
シルヴァーナー 77 % ケルナー 23 % |
畑: | 北海道余市 荒農園 |
収穫: |
2017/10/302017/10/22 収穫時の糖度 約20°Brix(平均) |
醗酵: | 葡萄を選果した後、やさしくプレスして得られた果汁をステンレスタンクに入れ、約13~20℃の室温で野生酵母によって約40日間ゆっくりと醗酵させた。 |
熟成: | ステンレスタンクで約1年熟成。 |
瓶詰: |
澱引き後、無ろ過・無清澄でビン詰。 ビン詰日: 2018/12/20 本数: 358本(750ml) アルコール: 11.9 % 酸度: 0.66 g/100 ml 残糖: 0.2 % |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
グレープフルーツの香りに加えて、口当たりはドライだが蜜柑の花・パッションフルーツなど甘みのある柑橘の香りが漂う。コリアンダーシード、ジンジャーシロップなどのスパイスがアクセントになり、フレッシュで硬質な酸が続き、粘性が余韻を長く感じさせる。 |
料理との相性: | 鯛の昆布〆、湯葉すし、ひらめの刺身、棒棒鶏(バンバンジー)、タルトフランべ、シュークルート、鶏モモ肉とジャガイモのローズマリーソテー、アスパラの豚バラ巻き、エビと春菊の和風ジェノベーゼパスタ、ブリー・ド・那須、梨のコンポート |
飲み頃: | 2~3年はフレッシュな酸を感じはつらつとした印象だが、3年をすぎると味わいに一体感が出てきて丸みのある味わいになる。それ以降5~6年後には熟した果実の味わいが強くなり、経年変化が楽しめるだろう。 |
2019/06/04
●2017 シルヴァーナとケルナーワイン・データシートPDF(プリントに最適です)