こことあるシリーズの「2017ぴのろぜ」は今回で5年目のヴィンテージです。ロゼワインは多くの場合、赤ワインでも白ワインでもない、中途半端なワインとしてつくられてしまっていますが、このロゼワインはもともと赤ワインをつくるつもりのピノ・ノワールを、試しにロゼワインにしたことがはじまりでした。1回限りのつもりで造った辛口のロゼワインが専門家の人たちにも好評で、それ以来洗練させながら最良の方法を模索しています。
2017年は乾燥した年で、北海道余市の屈指の栽培農家、木村農園では例年よりも涼しい秋を迎えました。この木村農園の遅摘みピノ・ノワールは、硬質な果実が味わいの中心にあり、酸も強く、なかなかよいヴィンテージでした。このピノ・ノワールを100%用いて、醸造場では葡萄を房ごとタンクに入れ、かなり長い時間、北海道の冷涼な気候だからこそできる低温で、マセラシオン・カルボニック(炭酸ガス浸漬)を行いました。それによって、やわらかなアロマやフレーバー、旨みや程よい“blush(ブラッシュ)”の色合いを果皮から抽出。葡萄をプレス(圧搾)した後は、厳選された樽とステンレスタンクで醗酵を続けました。醗酵が済んだ後も、澱といっしょに熟成させ、やさしい口当たりとアロマと、味わいを備えた複雑さをワインに与えていきました。
おかげさまで、丹精こめて育てられた葡萄から丁寧に醸造したドライなロゼワインは、より爽やかで、より複雑で、より食事にも合わせやすいワインになりました。熟成にも期待が持てます。このロゼワインがいつものお食事やお友達との集まりの席を盛り上げるための、お気に入りのワインになれることを願っています。
テクニカル・データ | |
品種: | ピノ・ノワール 100% |
畑: | 北海道余市郡余市町登 木村農園 |
収穫: | 2017/10/12, 13 |
醗酵: | 葡萄を選別した後、3週間低温全房のマセラシオン・カルボニック(炭酸ガス浸漬)を行った。その後、じっくりと搾り、ステンレスタンク(6割)、古樽(4割)にタンク移動し、約15週間野生酵母によりゆっくり醸し醗酵させた。野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック醗酵)を行った。 |
熟成: | マロラクティック醗酵させながら、8カ月澱漬け。 |
瓶詰: |
ビン詰直前に澱引き、ブレンドを行い、極少量の亜硫酸塩添加後、無清澄・無濾過にてビン詰。 ビン詰日: 2017/08/29 本数: 3,596本(750ml) アルコール: 10.9 % 酸度: 0.70 g/100 ml. 残糖: 0.18 % |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
色合いは、クリアなオレンジがかったロゼ色。さくらんぼ、アセロラ、フランボワーズの香りに、土っぽいスパイシーさもある。口中は、アセロラ、ブラッドオレンジ、レモン、フレッシュな酸味を軸に、中くらいのボディ、オリからの旨味もある。余韻に、カラメルのような香ばしさ、スモーキーさが続いていく。 |
料理との相性: | サーモンマリネ、豚肉とプティトマトの串焼き(塩で)、レモン風味の魚介のアクアパッツア、ロースハムのグリル、常夜鍋(ポン酢で)、鶏肉とじゃがいものトマトしょうゆ煮、スモークチーズ、ミモレット、レモンのシャーベット、グレープフルーツのジュレ |
飲み頃: | 今からでも楽しめるが、理想を言うと1年〜5年後に楽しんでいただくのがベストだろう。5年後以降も熟成できる。酸味がなじみ、香ばしさと合わさり、円熟した味わいになるだろう。温度で印象が変わるので、酸味が好きなら、冷やしぎみで。酸味を和らげたいなら、温度を高めに。 |
2018/10/6
●2017 こことあるシリーズ ぴのろぜワイン・データシートPDF(プリントに最適です)