1950年代に開墾されたこころみ学園の葡萄畑。この急斜面の葡萄畑の中央で育てているのがノートン種(シンシアナ種)の葡萄です。雨の多いアメリカ合衆国東海岸のヴァージニアや中央部のミズーリ原産のこの葡萄は、昨今の日本の猛暑やゲリラ豪雨にもよく耐え、適地適品種の重要性を私たちに示しています。
2017年も、この葡萄は健康で香り高いしっかりした実をつけてくれました。私たちはこの葡萄を慎重に収穫し野生酵母で醗酵させました。醗酵後はやさしく搾り小樽に入れ野生乳酸菌によるマロラクティック醗酵を行いゆっくり熟成させました。その後良いバランスの樽をブレンドし澱引きし、清澄やろ過なしでビン詰めしました。
やがて開墾60年を迎える葡萄畑の麓で、より純粋に飾り気なくつくった「2017こころみノートン」です。
テクニカル・データ | |
品種: |
ノートン 90.9% タナ 9.1% |
畑: |
栃木県足利市田島 こころみ学園(ノートン) 栃木県佐野市赤見 こころみ学園(タナ) |
収穫: |
2017/9/29 10/06、13、18、19(ノートン) 2017/10/9(タナ) 収穫時の糖度 約21.6°Brix(平均) |
醗酵: |
ノートンは、二つの方法で仕込んだ。 一つ目は、除梗し軽く破砕して、小型のタンクへ移す。1日2回のルモンタージュをおこないながら徐々にマストを温めてゆく。4、5日すると野生酵母による醗酵が始まる。醗酵は高めの温度ですすみ、残糖がなくなるまで続く。注意深くルモンタージュをおこないながら十分な色素と風味を抽出する。おおよそ約10~24日間醸した後、マストを搾り、ワインを皮と種から分ける。 二つ目は、全房でプレスをした後、約20日間醗酵させる。 タナは、除梗し甕に移す。約10日間醸し醗酵させた後、マストを搾り、ワインを皮と種から分ける。 その後、それぞれ古樽内で野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック醗酵)を続ける。 |
熟成: | フランス産オークの古樽で6ヶ月~6ヶ月半熟成。 |
瓶詰: |
オリ引き後ブレンドし、清澄せず無ろ過でビン詰。 ビン詰日: 2018/05/15 本数: 3,276 本 (750ml) アルコール: 11.4 % 酸度: 0.55 g/100 ml 残糖: 0.15 % |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
色合いは、にごりのある黒みがかった赤紫。ジャスミン、カシスやブルーベリー、香木、オリエンタルスパイス、グレーピーな香り。口当たりは、なめらかで、活き活きとしたカシスやブルーベリーの果実味とジャスミン、スパイシーさがあり、旨味、おだやかな酸味、ほのかな渋味が、軽すぎず重すぎない一体感のある味わいを構成し、ナッツのような香ばしい余韻が長く続く。 |
料理との相性: | 黒酢の酢豚、ニラレバ炒め、メンチカツ、牛スネ肉の赤ワイン煮込み、ローストポーク バルサミコソース、スペアリブの豆鼓煮込み、肉シュウマイ、春巻き、ラフテー、クリーミーな白カビのチーズやシェーブル、カシス風味のレアチーズケーキ、ブルーベリーパイ |
飲み頃: | セラー温度で、大ぶりのグラスでゆっくり飲むことをすすめる。暑い時期は、少し冷やしぎみの温度でも心地よいだろう。いい状態で、5年ほど熟成させると、更になめらかさが増し、熟成感も出てくるだろう。 |
2018/09/12
●2017 こころみノートンワイン・データシートPDF(プリントに最適です)