ここ北関東足利の夏は暑い、とにかく蒸し暑いです。ちなみに2016年、隣の佐野市の観測所では、最高気温が35℃以上の猛暑日を10日も記録しています。一般的に、葡萄は暑すぎる日が続くと果実に含まれる酸が減って、病気にかかりやすく、またワインも、特に白ワインは平坦な味わいになってしまいがちです。
そうはいっても、ココに生きる葡萄も私たちも引っ越すわけにはいきません。こころみ学園では、20世紀から21世紀にかけて、気候変動に負けない適地適品種のよいワイン用葡萄をつくることがみんなの願いでした。
そんな願いを実現すべく、1990年頃から、世界各地の産地を調べ、訪れ、実際にテイスティングする旅がはじまりました。そしてとうとう、フランスの南西部スペインとの国境にほど近い、ピレネー山脈の麓でこのプティ・マンサンに出会うことができたのです。このジュランソンの地でつくられるプティ・マンサンのワインは驚くほどの凝縮感と余韻の長さを持っていました。強い酸味に対し、味わいのバランスをとるために、甘さをしっかり残した原産地のワイン。足利ではきっと酸味が適度に残る葡萄になり、それなりにバランスのとれた白ワインになるのではないか・・・。そんな予測から2006年、私たちはプティ・マンサンの栽培をはじめました。
そして10年後、足利の暑さにも耐え美味しい酸を残したまま、よく熟した果実を収穫できるようになりました。私たちは、できあがったワインにもこれからの可能性にも大いに期待しています。ぜひ味わってみてください。
テクニカル・データ | |
品種: | プティ・マンサン 100% |
畑: | 栃木県足利市田島 |
収穫: |
2016/9/6, 7, 9, 19, 20, 22
収穫時の糖度 約21.2°Brix(平均) |
醗酵: | 房ごと葡萄をやさしくプレスして、ステンレスタンク(71%)または木樽(29%)に入れる。葡萄の香りを逃がさないように18℃位で2ヶ月~2ヶ月半、野生酵母で醗酵させた。その後、樽(64%)またはステンレスタンク(36%)に移して野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック醗酵)を促す。 |
熟成: | 醗酵終了後、ステンレスタンクは10ヶ月熟成。樽は熟成4ヶ月後ステンレスタンクに移し、更に6ヶ月熟成。 |
瓶詰: |
澱引き後、清澄せず無ろ過でビン詰。 ビン詰日: 2017/9/14 本数: 1,843 本 (750ml) アルコール: 12.8 % 酸度:0.55 g/100 ml 残糖: 0.24 % |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
焼いたオレンジ、パイナップル、レモンピール、樽由来の甘く香ばしい香りが混じりあう。おだやかで大人しい印象だが、ハチミツ漬けのレモンのようなナチュラルな酸味があり、グレープフルーツ、オレンジ、樽由来のカスタード、カラメルのような香ばしさもある。 |
料理との相性: | 牡蠣フライ タルタルソース、パイナップル入りの酢豚、フォアグラ、ラタトゥイユ、オレンジ風味のキャロットラペ、鶏むね肉の生姜焼き、鮭とホウレン草の豆乳仕立て、クレープシュゼット、オレンジパウンドケーキ、しののめ(今牧場)、ウォッシュチーズ |
飲み頃: | 冷蔵庫で冷やして、そこから少し温度を上げていくと、香りや甘さも出てくる。今から2年は、ナチュラルで若々しい印象を楽しめるだろう。いい状態で保管できたら、向こう10年くらいで、オークの香ばしさ、余韻のまとまりと熟成感が出てくるだろう。 |
2018/3/26
●2016 プティ・マンサンワイン・データシートPDF(プリントに最適です)