ケルナーは1950年代にドイツで開発された葡萄品種で、現在、ドイツ、オーストリア、日本の北海道などで栽培されています。あまり有名な品種ではないのですが、私たちはケルナーが持つ、華やかな香り、瑞々しい酸、豊かなフルーツに魅力を感じ、敬愛する余市の契約栽培農家さんにケルナーの栽培をお願いしています。
2016年、余市の藤澤さん、荒さん、小西さんの葡萄畑からは、おいしい酸味と豊かな香り、そして貴腐のニュアンスを持つ、素晴らしいケルナーが収穫できました。そんなケルナーのフルーツの力を逃がさないようにするため、足利の醸造場では、低温~中温で醗酵させ、フレッシュさを維持するため4~6ヶ月間、ステンレスタンクで熟成してビン詰しました。
その結果、「2016月を待つ」は、果実味豊かで、すがすがしい酸味のある味わい深いワインになりました。
名前の由来は「出る月を待つべし、散る花を追うことなかれ」江戸時代、清貧の儒学者、中根東里(1694~1765)が佐野にひらいた村塾の壁書(磯田道史著「日本人の叡智」新潮新書)より。“Here Comes The Moon:ほら、月が顔を出すよ”という名曲もありました。さあ、ご一緒に昇るお月さまを待ちましょう。この自然の酸味と真のエレガンスを感じる香り高きワインを、ゆっくりと楽しみながら。
テクニカル・データ | |
品種: | ケルナー 100% |
畑: |
北海道余市 藤澤農園 荒農園 小西農園 |
収穫: |
2016/10/24, 28, 29 2016/10/16, 19 2016/10/19 収穫時の糖度 約23.3°Brix(平均) |
醗酵: | 葡萄を選果した後、やさしくプレスして得られた果汁をステンレスタンクに入れ、約16~20℃の温度で野生酵母によって約4~6ヶ月間ゆっくりと醗酵させた。 |
熟成: | 澱引き後、ろ過しながらビン詰。 |
瓶詰: |
ビン詰日: 2017/6/1 本数: 4,227本(750ml) アルコール: 12.8 % 酸度: 0.57 g/100 ml 残糖: 2.50 % |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
ゆず、すだちなどの柑橘の香り、レモンピールの砂糖漬け、ハチミツっぽいニュアンスや貴腐由来の香りもある。フレッシュで丸みがある口当たり、豊かな甘みと酸味のバランスがよく、ボリュームがあり、味わいが長く続く。 |
料理との相性: | 青魚の寿司、蒸し鶏ときくらげの和え物、舞茸の天婦羅、蕪の蟹あんかけ、焼鳥やささみを柚子胡椒で、海老のグラタン、サーモンとホウレン草のキッシュ、ブリーなどのクリーミーな白カビチーズ、白桃のコンポートにバニラアイスを乗せたもの |
飲み頃: | 冷やし気味の温度(冷蔵庫10℃ぐらい)から、室温に温度を上げつつ、変化を楽しめる。甘さが気になる場合は、ワインクーラーなどで冷たい温度をキープ。今からでも楽しめるが、4〜5年の熟成で、より落ち着きと香ばしさが出て、10年間ぐらいは熟成による変化を楽しめるだろう。 |
●2016 月を待つワイン・データシートPDF(プリントに最適です)