第一楽章は20世紀初頭、川上善兵衛氏によって育種されたマスカット・ベーリーA100%の赤ワインです。原料となるマスカット・ベーリーAは、山頂に位置する畑「開拓園」と赤見の葡萄畑の痩せた土壌で、非常な手間をかけて育てられ、完熟を待って収穫されます。醸造場では真に個性豊かなワインとするため伝統的なヨーロッパの技術を取り入れ、野生の微生物によるワイン造りを行っています。また熟した果実の味わいと複雑さを持つ自然のままのワインに仕上げるために、人の手を加えることを最小限に抑えてビン詰めしました。ワインには強い花の香り、スパイス、果実など品種の特徴が十分に表れています。また、製造工程においては清澄・フィルター処理も一切行なっていません。その結果、ワインはやや曇ったままで熟成とともに澱が沈殿するでしょう。開栓する数時間前にボトルを立て、澱を沈め、ゆっくりと注いでワインをお楽しみください。
テクニカル・データ | |
品種: | マスカット・ベーリーA 100% |
畑: |
栃木県足利市田島 自家畑 栃木県佐野市赤見 自家畑 |
収穫: |
2016/10/20 11/02(田島) 2016/10/27(赤見) 収穫時の糖度 約22°Brix(平均) |
醗酵: | 除梗し軽く破砕して、小型のタンクへ移す。1日2回のルモンタージュをおこないながら、徐々にマストを温めてゆく。4、5日すると野生酵母による醗酵が始まる。醗酵は高めの温度ですすみ、残糖がなくなるまで続く。注意深くルモンタージュをおこないながら、十分な色素と風味を抽出する。7~12日間醸した後、マストを搾り、ワインを皮と種から分ける。その後、古樽内で野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック醗酵)を続ける。 |
熟成: | フランス産オークの古樽で6ヶ月半熟成。 |
瓶詰: |
オリ引き後、清澄・ろ過処理なしでビン詰。 ビン詰日: 2017/06/02 本数: 1,961 本 (750ml) アルコール: 12.1 % 酸度: 0.46 g/100 ml 残糖: 0.10 % |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
色合いは、にごり気味、黒味がかった赤紫色。香りはカシス、ブルーベリー、イチゴ、黒糖、クローブやシナモンのようなスパイシーさも。繊細な中にも、複雑さや奥行きを感じ、濡れた石のような鉱物質な香りもある。ナチュラルで優しい口当たり、香りと味わいに一体感があり、中くらいのボディに酸味と旨味が合わさったような長めの後味が続いていく。 |
料理との相性: | 鴨のロースト オレンジ風味のソース、雲南きのこ火鍋、鶏と鶏モツのすき焼き風、羊と野菜のスパイス煮込み クスクス添え、牛肉とゴボウのバルサミコ煮、あん肝、ホワイトスティルトン、ブルーベリーなど果物入りクリームチーズ、ポン・レヴェック、イチゴの黒胡椒・ミント風味コンフィチュール、田舎パイのあずき、岡田のパンヂュウ |
飲み頃: | まだ若々しくもあるが華やかさがあり、今飲んでも美味しい。いい状態で保管できたら7〜10年ほどで香ばしさなどの熟成の兆しが出始め、なめらかさと一体感が更に増し余韻も長くなるだろう。 |
●2016 第一楽章ワイン・データシートPDF(プリントに最適です)