ケルナー種は1969年にドイツで開発された白ワイン用葡萄品種で 「ワイン用葡萄ガイド※」には『現代ドイツの葡萄交配の大傑作』と書かれています。また、『ケルナーは、他の品種のように交配種開発者の名ではなく、19世紀に地元の、酒の讃歌の作詩家に因んで名付けられた』そうです。現在、このケルナー種の葡萄は、ドイツ、オーストリア、南アフリカ、イギリス、そして日本の北海道で栽培されています。
私たちが敬愛する余市の契約農家・藤澤さんは、毎年、華やかな香りの爽やかなワインになるケルナーを育てる名手です。今までにも、藤澤さんが丹精込めて育てたケルナー100%から“月を待つ”というワインがつくられ、「2014月を待つ」「2015月を待つ」は、JAL国際線のファーストクラスでもお使いいただきました。
2015年、藤澤さんの畑は収穫の時期に貴腐が現れはじめ、貴腐混じりの収穫になりました。貴腐とは、葡萄の果皮がボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)という菌(灰色カビ)に感染することによって、葡萄の糖度が高まり芳香を帯びる現象です。そこで、2015年は特別に、“こころみシリーズ”として藤澤さんのケルナー種のなかでも貴腐菌の付いた葡萄を集めて仕込み、野性酵母で2ヶ月間ゆっくりと醗酵させてみました。
貴腐のチャンスを生かして造られた「こころみシリーズ 2015ケルナー」。結果は・・・とても上質なワインになりました。南国を思わせるフルーツに加えて、貴腐葡萄を醗酵させた際の蜂蜜のような香りや味が現れ、このワインに複雑さと華やかさを与えています。※著者:ジャンシス・ロビンソン、訳と発行:ウォンズパブリシング リミテッド
テクニカル・データ | |
品種: | ケルナー 100.0% |
畑: | 北海道余市郡余市町登 藤澤農園 |
収穫: |
2015/10/25 収穫時の糖度 約24.0°Brix(平均) |
醗酵: | 房全体をやさしくプレスして得られた果汁をステンレスタンクに入れ、約16~20℃の温度で野生酵母で6カ月間ゆっくりと醗酵させた。 |
熟成: | 約13カ月ステンレスタンク貯蔵。 |
瓶詰: |
澱引き後、ろ過を行いながら瓶詰。 瓶詰日: 2017/06/01 本数: 365本 (750ml) アルコール: 11.9 % 酸度: 0.54 g/100 ml 残糖: 2.65 % |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
ハチミツ、貴腐の香り、オレンジ、カリンの香り。口当たりは、ソフトで、レモンキャンディや、砂糖漬けのオレンジピール、甘さのある味わいのため、酸味が控えめに感じられる。アフターに程よい熟成感や香ばしさもあり、苦味が後味を引き締める。 |
料理との相性: | シュークルートにマスタードやジャムを添えて、鶏肉のフリカッセ、豚肉の生姜焼き、リエット、ブルーチーズ、ウフ・ア・ラ・ネージュ |
飲み頃: | 貴腐ブドウの影響か、亜硫酸が控えめなためか、開栓後の色の褐変が早い(約2時間で琥珀色になる)。開栓後も、冷やした状態を保つともう少しゆるやかに変化するだろう。今から、2年ほどは、現状のまま楽しめるだろう。開けたら早めに飲み切ることを勧める。保管する際は、色の変化が促されるのが容易に想像できるので、温度と光に注意を。 |
●2015 こころみケルナーワイン・データシートPDF(プリントに最適です)