Zweigelt、Zweigeltrebe・・・「ツヴァイゲルト」または「ツヴァイゲルトレーベ」とも呼ばれるこの葡萄品種は、「ピノ・ノワール」や「シャルドネ」が言いやすく美味しそうなのに比べ、少々言いにくい葡萄名です。この葡萄は1922年にツヴァイゲルト博士によりオーストリアの研究所で、サンローランとブラウフレンキッシュという葡萄を交配して開発されました。早い成熟でありながら収量も穫れ、なかなか魅力的なこの「ツヴァイゲルト」は、現在オーストリアで広く栽培されています。私たちもこの「ツヴァイゲルト」をとても大切に思っています。農産物であるワインは気候変動の影響を受けやすいにもかかわらず、寒い北海道でも高品質で深みのある赤ワイン造りを可能にする重要な葡萄だからです。
「こことあるシリーズ 2017ツヴァイゲルト」は、登地区の最北の丘の穏やかな風が通るひっそりとした中川農園と、余市の町と日本海が見渡せる丘のてっぺんの小西農園の、二つの畑のツヴァイゲルト種の葡萄からつくられました。2017年、余市は秋に過剰な雨に見舞われ、葡萄の成熟が難しく、熟した健全果を得るのに十分なケアと忍耐が必要でした。醸造場では、これらの畑で収穫した葡萄を軽く潰し、穏やかな温度で野生酵母により醗酵させ、優しくプレスし、木の小樽や小さなステンレスタンクで熟成させました。ビン詰時のごく僅かな亜硫酸の添加を除き何も加えず、濾過も行っていません。
なかなか難しい年でしたが、可能性に溢れたこのようなワインをつくれたことを嬉しく思います。
テクニカル・データ | |
品種: | ツヴァイゲルト 100% |
畑: | 北海道余市郡余市町登 中川農園、小西農園 |
収穫: |
2017/10/20~10/24(中川農園) 2017/10/19~10/22(小西農園) |
醗酵: | 葡萄を細心の注意を払って選別した後、除梗。ステンレスタンクに入れ、脈動ポンプにより物理的なダメージを抑えたルモンタージュ(たまにバケツリレー)を行いながら、約25℃で3週間醸し醗酵を行った。野生酵母による醗酵後、野生乳酸菌によりMLF(マロラクティック醗酵)を行った。低圧で搾り、常温沈殿後に澱引きした。 |
熟成: | ステンレスタンク(3割)とオーク樽(7割、フレンチオーク)で14カ月の熟成。 |
瓶詰: |
澱引き、ブレンド、少量の亜流酸塩添加後、無清澄・無濾過にてビン詰。 ビン詰日:2018/08/19, 20 本数:5,547本(750ml) アルコール:11.9 % 酸度:0.55 g/100 ml. 残糖:0.04 % |
このワインについて | |
テイスティング・コメント: | レッドチェリー、ブラックベリー、プルーンのジャムなどの果実、ローズヒップやシダなど清涼感のある香りに加え、オレガノや黒胡椒のホールなどのスパイシーさもある。熟した柔らかい口当たりで引きしまったタンニンもなじみ滑らかな余韻が続いていく。 |
料理との相性: | レンズ豆のサラダ、マグロのミキュイ グロセイユビネガー、エゾシカのロース肉ステーキ、ジビエ肉のテリーヌ、ターフェルシュピッツ、スパゲッティ・ボロネーゼ、チェダーチーズとドライフルーツの盛り合わせ、ブルーチーズ、ザッハトルテ、アプリコットのタルト |
飲み頃: | 2019年~2027年は、長期熟成が可能。熟成により複雑性と持続性が増して、味わいの向上が期待できる。抜栓後すぐに香りが開き、数時間は香りの変化が大きいのでゆっくりと時間をかけて味わっていただきたい。 |
2019/12/26
●2017 こことあるシリーズ ツヴァイゲルトワイン・データシートPDF(プリントに最適です)