“こころみシリーズ”は可能な限りベストなワインを造ろうという私たちの新しい試みです。異なる畑の様々なブドウを使用したこの限定発売プログラム。この私たちの“試み”をぜひお試しください。
このワインは足利の米所と言われる北郷地区田島町にあり、こころみ学園の側を流れる田島川の周りに広がる水田地帯にポツリとある約20aの葡萄畑で収穫された葡萄からできたワインです。
田んぼの中に葡萄畑!? 若干違和感のあるこの光景。何故?
私たちがこころみ学園の近くで葡萄畑を増やしたいと思った時、これ以上急な斜面の畑を増やすことは、人手が少なく管理するのは難しいと考えていて、平らな場所で畑を増やすしかありませんでした。平らな畑は管理はしやすいですが、良い葡萄が獲れるかどうかは自信がありませんでした。この畑をやってみるまでは。なぜなら、一般的には良い葡萄を収穫するには水はけの良い畑が必要と言われていますし、この周辺の平らな農地といえばその多くが水田だったからです。
ここからがチャレンジです。
田んぼは稲を栽培するために造られた場所ですから、そのまま使えばおいしい葡萄は収穫できません。葡萄に適した畑にする必要があります。
まず始めに畑の排水性を良くします。水を溜める土の層を壊し、暗渠(あんきょ=地中に埋めた排水路)を入れることで対応しました。
次に畑の肥料分を整えます。緑肥作物といわれる草花を育て、それを刈り倒し、鋤きこむことで土壌養分や土壌微生物を増やし、土の改良してきました。結果とても良い肥料分と土の構造になり、葡萄がバランスよく育つようになりました。
今回の件で農作物を栽培するためには適した場所を探して栽培することも大事ですが、作物の種類に応じて、土地の環境を適したものに造りかえる方法もあるということを改めて思い直し、この周辺の平らな畑でもおいしい葡萄を栽培できるという自信も付きました。
稲を栽培するために土壌や環境を適したものにしてきた先人たちの知恵と技術に思いを馳せつつ、良いワインを造るためにその場所を葡萄に適したものにしてきた、こころみ学園の農夫、ココ・ファーム・ワイナリー栽培スタッフの情熱が詰まったワインを是非味わってみてください。
テクニカル・データ | |
品種: | ヴィニョール100% |
畑: | 栃木県足利市田島 |
収穫: | 2014/09/04, 23 収穫時の糖度: 19.5°Brix(平均) |
醗酵: |
房全体をやさしくプレスして得られた果汁をステンレスタンクに入れ、 野生酵母にて約16~20℃の温度で約1ヶ月間ゆっくりと醗酵させた。 |
熟成: | ステンレスタンクにて4ヶ月貯蔵。 |
瓶詰: |
澱引き後、清澄せずに無ろ過で瓶詰め。 瓶詰日: 2015/03/11 本数: 642本(750ml) アルコール: 11.7% 酸度: 0.555 g/100 ml 残糖: 0.25% |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
「2014田島川右岸」は、香りは、かりん、ライム、白桃、シトラスなどフルーツが感じられ、白い花のような華やかさもある。口当たりはとろみを感じ、厚みのある味わいの中にも果実と酸が充分に感じられる。グレープルーツの皮のような苦味が後味を引き締め、次の杯を勧める。 |
料理との相性: |
白身魚のバターソースレモン添え、鱧の天ぷら葛のあんかけ、エビのアヒージョ、 ささみの梅しそ春巻、白カビチーズ |
飲み頃: | 現在から2018年頃:熟成によりなめらかな口当たりのワインになるでしょう。 |
2015/05/25
●2014 田島川右岸ワイン・データシートPDF(プリントに適しています)