「2013こころみノートン」は非常に珍しい品種、ノートン種からつくられています。多くの葡萄品種は、高温多湿で夏に雨の多い地域では順調に育ちにくく、たとえそのような状況でつくれたとしても、ワインは果実味がなく色の薄い水っぽいものになりがちでした。しかし、私たちはアメリカ合衆国の東海岸のヴァージニアや中央部のミズーリで、日本より雨の多い気候にもかかわらず、その地域原産のノートン種(シンシアナ種)が果実たっぷりの色の濃い、印象的なワインになっていることを目の当たりにしました。そこでノートン種であれば日本でも上手く育つと思いこころみ学園の畑で栽培しはじめました。醸造場では乾燥酵母でなく葡萄についた野生酵母で発酵させ、発酵後、樽に入れ熟成させ、オリ引きし、清澄やろ過なしで、ビン詰めしました。ノートン種の濃さと奥深さを表現するため、より純粋に飾り気なくつくりました。2020年ヴィンテージ以降、「こころみノートン」は自家畑の赤ワインをブレンドし、こころみシリーズ「協奏曲R」として新たな可能性にチャレンジしています。
テクニカル・データ | |
品種: | ノートン 100% |
畑: | 足利市田島 |
収穫: | 2013/10/15 収穫時の糖度: 19.3°Brix |
醗酵: |
2つの方法で野生酵母により醗酵させた。 1つ目は、葡萄を除梗し、軽く破砕する。1日2回ピジャージュしながら醸し、徐々にマストを温めてゆく。4、5日すると天然酵母による発酵が自然に始まる。発酵は高めの温度ですすみ、残糖がなくなるまで続く。約10日間以上醸した後、マストをプレスした。 2つ目は、葡萄を全房でタンクに入れて炭酸ガスで満たし、1週間MC法(マセラシオン・カルボニック法)を行った。その後、葡萄を破砕し1週間醸し発酵を行った。十分に成分を抽出した後プレスした。 酵母による発酵後、小樽に移し野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック発酵)を促す。 |
熟成: | オークの小樽で5カ月、ステンレスタンクで1カ月半熟成。 |
瓶詰: |
瓶詰日: 2014/5/21 本数: 1,955本(750ml) アルコール:11.0% 酸度: 0.690 g/100 ml 残糖: 0.255% |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
ブルーベリー、チェリーなどのフルーツの香りに、湿った葉や紅茶、なめし皮のニュアンスと複雑味が広がる。濃縮感のある果実味にさわやかな酸が加わり、滑らかなタンニンと厚みのある味わいがゆっくりと続いていく。 |
料理との相性: | スペアリブ、黒酢の酢豚、北京ダック、鴨肉のローストフランボワーズソース、めかじきのソテー バルサミコソース、レアチーズケーキ チェリーソース |
飲み頃: | 現在から5~10年後。熟成により、口当たりが柔らかに広がる、ゆったりとしたまろやかで複雑なワインとなる。 |
2020/10/04
●2013 こころみノートンワイン・データシートPDF(プリントに最適です)