当初“こころみシリーズ”としてリリースされた「2011こころみノートン」は、限られた地域でのみ栽培されている非常に珍しい品種、ノートン種100%でつくられています。独特な気候の日本で上手く育ち且つおもしろい品種を探しているとき、私たちはこのノートン種に出会いました。多くの葡萄品種は、高温多湿で夏に雨の多い地域では順調に育ちにくく、例えそのような状況でつくれたとしても、果実味がなく、色の薄いワインになってしまうといわれていました。しかし、アメリカ合衆国の東海岸、ヴァージニアやミズーリでは日本より雨の多い気候にもかかわらず、その地域原産のノートン種(シンシアナ種)で果実たっぷりの色の濃い、印象的なワインをつくっていたのです。
私たちは税関をパスしたノートン種の苗木を増やし、こころみ学園の畑で栽培しはじめました。醸造場では健康で香り高い葡萄を慎重に扱い、乾燥酵母でなく葡萄についた野生酵母で発酵させました。発酵後はやさしく搾り樽に入れて熟成。テイスティングで良いバランスの樽を選別しブレンドを決め、澱引きし、清澄やろ過なしでビン詰めしました。より純粋に飾り気なくつくったのは、こころみ学園の畑からできたノートン種の濃さと奥深さを表現したかったからです。山の熟成庫で静かに時を過ごした「2011こころみノートン」は、2020年、私たちの背中をそっと押しているような気がします。
テクニカル・データ | |
品種: | ノートン 100% |
畑: | 栃木県足利市田島町 |
収穫: |
2011/10/22、24 収穫時の糖度(平均): 19.6Brix |
醗酵: | 完熟したぶどうを除梗し軽く破砕して、小型のタンクへ移す。1日2回のピジャージュをおこないながら、徐々にマストを温めてゆく。2、3日すると天然酵母による発酵が自然に始まる。発酵は高めの温度ですすみ、残糖がなくなるまで続く。注意深くピジュアージュを続けながら、十分な色素と風味を抽出する。1週間以上醸した後、マストを搾り、ワインを皮と種から分ける。その後、小樽に移しマロラクティック発酵を促す。 |
熟成: | オークの小樽で12カ月熟成。 |
瓶詰: |
ビン詰日: 2012/12/06 本数: 1,455本(750ml) アルコール:10.3% 酸度: 0.72 g/100 ml 残糖: 0.28% |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
新鮮なグリーンプラムやアンズなどの香りに、干し草や玉ねぎ、にんじんなどのアロマも感じる。口の中をすっきりさせてくれる酸を華やかに感じ、渋みもやや抑えられているので、すっと体になじむようなスムースな飲み心地。 |
料理との相性: |
スペアリブ、酢豚、北京ダック、鴨肉のローストフランボワーズソース、 めかじきのソテーバルサミコソース チーズケーキとチェリーソース |
飲み頃: | 現在、飲み頃。2025年頃までは、熟成により口当たりが柔らかに広がる複雑なワインとなるだろう。 |
2020/06/04
●2011 こころみシリーズ こころみノートンワイン・データシートPDF(プリントに最適です)