白ワインが白いことは、みんなの“共通の認識”です。白ワインが、赤ワインよりボディーが軽く、タンニンが少ない…ということも。長い時をかけてかたちづくられたこのような“共通の認識”は、私たちがワインをつくるうえでも、結果的には基準となっていました。それから、白ワインを買うときにも、軽やかでフルーティーで繊細な白ワイン…というように。それでもいいでしょう。
しかし、私たちは時に“常識破り”をしたくなるのです。いままでの認識を考え直して挑戦したくなるのです。「2005甲州F.O.S. Reserve」はそのひとつです。(‘F.O.S’とは‘Fermented on Skins’の略)甲州は日本の葡萄品種で、日本国内に甲州の白ワインは多く流通しています。そのほとんどが淡い色で、軽く繊細で飲みやすいものです。それゆえ甲州の葡萄自体も同じように、淡い色でソフトな味だと思いがちですが、それはちょっと違います。色は銅色、渋味が強くとても力強いのです。このような葡萄から淡くやわらかなワインをつくるには、葡萄の成分を抽出しすぎない注意、成分を抽出しすぎた場合はそれを取り除く技術が必要です。そんなわけで結果的に、本来の葡萄の特徴や力強さをもつワインにはなかなかならないのです。
「2005甲州F.O.S. Reserve」は淡くやわらかな白ワインとは正反対です。可能な限り葡萄から香りと成分を抽出し、赤ワインをつくるように皮と共に醗酵させました。(注意:これは白ワインです。)他の白ワインとは違う、深い色、広がりのある複雑なアロマ、渋味がつくる口当たりの強さを有するワインになりました。
すべての人に受け入れられるとは思いません。でも、“常識破り”に興味のある方、冒険したい方は普通でない、パワフルな甲州を楽しんでください。
2005は「甲州F.O.S」のファーストヴィンテージで、私たちは「2005甲州F.O.S」を瓶詰する時、このワインがもうしばらくタンク内で熟成を続けたらどうなるのだろうかと興味がありました。6年半の歳月を経てスタンダードタイプとは違った味わいを感じることができました。熟成によるまとまりとフィネスをお楽しみ下さい。
テクニカル・データ | |
品種: | 甲州100% |
畑: | 山梨県勝沼(秋玉園) |
収穫: | 2005/10/28 収穫時の糖度:17.8 oBrix(平均) |
醗酵: |
2つの方法で野生酵母で醗酵させた。 1つ目は、葡萄を除梗しステンレスタンクに入れ、1日2回ピジュアージュしながら醸す。醗酵により出てきたアルコールが皮からの成分を抽出した後、プレス。 2つ目は、粒だけの葡萄で2週間マセラシオン・カルボニックし、その後葡萄をつぶし 2週間醗酵させてプレス。 |
熟成: |
樽で12ヶ月 その後ステンレスの樽に移し5年6カ月熟成。合計で6年6カ月。 オリ引き後、清澄せず無濾過で瓶詰。 |
瓶詰: |
瓶詰日:2012/4/25 本数:357本(750ml) アルコール: 12.1% 酸度: 0.555g./100 ml. 残糖: 0.07% |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
「2005甲州F.O.S.」は琥珀色.アプリコット,八朔,オレンジの皮のような柑橘系の香りとドライフル-ツ,蜂蜜,ナッツのような香ばしい香りもある.口中は引き締まった渋みと,豊かなフル-ツが感じられ,コク,旨みがあり奥深い味わい.ソフトな渋味を伴う長い余韻にもドライフル-ツが感じられる. |
料理との相性: | 串カツ、ネギ焼き、チーズとチキンの包み揚げ、鮎の春巻き、小籠包、東坡肉(トーロンポー)、ブーダンノワール、レバーペースト甘夏ジャムを添えて カラスミ大根 |
飲み頃: | 現在から2018年頃まで:今でも美味しいが、長期の熟成によりもっと複雑なワインとなるでしょう。 |
2012/5/18
●2005 甲州F.O.S Reserveワイン・データシートPDF(プリントに最適です)