21世紀になった頃、高齢になったこころみ学園の園生たちが歩いていける、平らな葡萄畑が必要になりました。しかし、こころみ学園周辺の平らな農地はそのほとんどが水田です。平らな水田は管理しやすいのですが水はけが良くありません。そこで近隣の方々の協力を得て、まず水を溜める土の層を崩し、暗渠(あんきょ=地中に埋めた排水路)を入れ排水を良くしました。次に緑肥作物といわれる草花を育てそれを刈り倒し鋤きこむことで土壌養分や土壌微生物を増やして畑の土壌を整えました。その結果、2002年に植樹したヴィニョール種やトラミネット種の葡萄も元気よく育つようになりました。
田んぼだったところに、雨の多いアメリカのミズーリ州の苗木屋さんが教えてくれたヴィニョール種やトラミネット種の葡萄を植えてみて、私たちは学びました。栽培に適した場所を探すことも大切ですが、作物の種類に応じて適した環境をつくっていく方法もあることを。長い時間をかけて葡萄の生育環境を整えてきたこころみ学園の農夫やスタッフたちのチャレンジをぜひ味わってみてください。
テクニカル・データ | |
品種: |
ヴィニョール 62% トラミネット 18% アルバリーニョ 11% マルヴァジア 6% プティ・マンサン 2% グロ・マンサン 1% |
畑: | 栃木県足利市田島 こころみ学園 |
収穫: |
2020/08/20、31 09/10 収穫時の糖度(平均) 約19.4°Brix 収穫方法:手摘み |
醗酵: | 房全体をやさしくプレスして得られた果汁をステンレスタンクに入れ、野生酵母にて約15℃の室温下で1~2週間醗酵させた。その後、古樽で野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック醗酵)を続ける。 |
熟成: | オークの木樽で8~9カ月熟成。 |
瓶詰: |
澱引き後、清澄せずに無濾過でビン詰。 ビン詰日:2021/06/24 本数:602本(750ml) アルコール:10.0% 酸度:5.7 g/L. 残糖:1.0 g/L. |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
グレープフルーツ、洋ナシ、カリンに加え、ユリ、レモングラス、発酵バターの香り。口に含むと華やかな印象の後に爽やかできゅっと引き締める酸味が続き、火打石、貝殻のニュアンスや穏やかなオークの風味が程よい苦みと共にじっくりと広がっていく。 |
料理との相性: | 桃とリコッタチーズのサラダ、平目のカルパッチョ、アスパラガスの卵炒め、タケノコのあおさ海苔炒め、すっぽん鍋、桜海老と新玉ねぎのかきあげ、イサキのソテー、豚肉の塩麹焼き、墨烏賊の握り、あさりと春キャベツのペペロンチーノ、ブリード那須、すだちのソルベ |
飲み頃: | 2022~2024年は、フレッシュで伸びのある味わいが続く。2025~2027年は、熟成により香ばしさやドライフルーツの香りがでて円熟する。飲む直前に氷水や冷蔵庫で1時間程度冷やすと風味をより楽しめる。 |
2021/12/24
●2020 田島川右岸ワイン・データシートPDF(プリントに最適です)