タナはフランス南西部原産の黒葡萄で、赤ワインの渋味の元にもなる「タンニン」が語源と言われ、現地では渋味が強く、色の濃いしっかりした赤ワインがつくられています。私たちは海外のワイン産地を訪れる旅の途中で、このタナ種に巡り会いました。今、このタナ種の葡萄は、日本でも突出した色の濃さとタンニンを持つ葡萄に育っています。そんな葡萄でロゼワイン!? 不思議に思う方もいらっしゃるでしょう。実はタナは、渋味や色の濃さだけでなく、のびやかで芯のある酸味やボディを持ち、特に高山村の佐藤さんが育てるタナには、土地の特徴である鉱物のような味わいが感じられます。そこで最初赤ワインを造って、次に2016年は白ワインとしての鉱物的な魅力を生かし「ブラン・ド・タナ」を造ってみました。その結果、この葡萄の赤ワインと白ワインの両方の魅力を実感することができました。それならばロゼは? ということで2017年からは「タナロゼ」を造り、この3つの秋の試作を経て私たちは日本のタナからつくるワインのひとつの答えを掴んだような気がしています。
2020年秋、醸造場ではタナの果皮の色や成分が果汁に移るようMC(マセラシオンカルボニック)を行った後、野生酵母や野生乳酸菌で醗酵させました。渋味がやわらかく豊かな酸とボディを持ち、赤い果実の香るチャーミングなロゼワインになりました。日本生まれのタナ種の日本のロゼワインです。
テクニカル・データ | |
品種: | タナ 100% |
畑: | 長野県高山村 佐藤農園 山形県上山 南果連 |
収穫: | 2020/10/10, 12 収穫時の糖度 22.3 Brix (佐藤農園) 収穫方法:手摘み |
醗酵: | 2つの方法で仕込んだ。1つ目はフリーランの果汁のみをステンレスタンクに入れ野生酵母で醗酵させた。2つ目は房全体をタンクに入れ、MC(マセラシオンカルボニック)を約1週間行った後プレスし、野生酵母にて醗酵させた。その後ブレンドし、木樽で野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック醗酵)を続ける。 |
熟成: | 木樽で約5カ月熟成。 |
瓶詰: | 澱引き後、清澄せず無濾過でビン詰。 ビン詰日:2021/04/07 本数:2,403本(750ml) アルコール:12.4% 酸度:4.9g/L. 残糖:1.5g/L. |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
色合いは赤みがかったラズベリーレッド。イチゴやラズベリーの果実に、バラやスミレ、石灰、ヨーグルトの香りを感じる。口当たりはドライで酸が全体を引き締め、タナ由来の渋みやミネラル感が余韻を長くしている。 |
料理との相性: | ザワークラウト、セミドライトマトのオイル漬け、ピータン、生春巻き、ブイヤベース、サバの西京焼き、天然ブリの燻製、餃子、イカの一夜干し、牡蠣フライのタルタルソース、酢豚、イチジクのコンポート、マドレーヌ |
飲み頃: | 2022年~2024年は、フレッシュな香りのある味わいが続く。 2025年からは、タンニンがなじみ一体感と香ばしい余韻がでてくるだろう。 |
2021/10/21
●2020 タナロゼワイン・データシートPDF(プリントに最適です)