こことあるシリーズの「2019ぴのろぜ」は、今回で7年目のヴィンテージです。このロゼワインは、もともと赤ワインをつくるつもりのピノ・ノワールを試しにロゼワインにしたことがはじまりでした。伝統的なワイン産地で、そして新しいワイン産地で、世界中から敬愛され、あこがれを持って作られている葡萄品種、ピノ・ノワール。ここ日本でも、栽培が難しいといわれているピノ・ノワールから、今、素晴らしい赤ワインが生まれつつあります。日本のピノ・ノワール栽培では右に出る者はいないといわれている余市の木村農園。そのピノ・ノワールから、赤ワインではなくロゼワインをつくるということは、大変勇気のいることでした。木村農園のピノ・ノワールから1回限りのつもりで造ったロゼワインが好評で、それ以来洗練させながら最良の方法を模索しています。
2019年、北海道余市の屈指の栽培農家・木村農園の遅摘みピノ・ノワールは、硬質な果実が味わいの中心にあり酸も強く、なかなかよいヴィンテージでした。このピノ・ノワールを100%用いて、岩見沢の醸造場(10R)では葡萄を房ごとタンクに入れ、かなり長い時間、北海道の冷涼な気候だからこそできる低温で、マセラシオン・カルボニック(炭酸ガス浸漬)を行いました。それによってやわらかなアロマやフレーバー、旨みや、程よい“blush(ブラッシュ)”の色合いを果皮から抽出しました。葡萄をプレス(圧搾)した後は、厳選された樽とステンレスタンクで野生酵母や野生乳酸菌により醗酵を続けました。
そして醗酵後も澱と一緒に熟成させ、やさしい口当たりとアロマと、味わいを備えた複雑さをワインに与えていきました。
おかげさまでこのドライなロゼワインは、より爽やかで、より複雑で、多彩なお料理にも合わせやすくなりました。熟成にも期待が持てそうです。この辛口のロゼワインが、いつもの食卓やお友達との集まりの席を盛り上げるお気に入りのワインになれることを願っています。
テクニカル・データ | |
品種: | ピノ・ノワール 100% |
畑: | 北海道余市郡余市町登町 木村農園 |
収穫: | 2019/10/17~11/5 |
醗酵: |
葡萄を選別した後、マセラシオン・カルボニック(炭酸ガス浸漬)を行った。 その後、じっくりと搾り、ステンレスタンク、古樽にタンク移動し、野生酵母によりゆっくり醗酵させた。野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック醗酵)を行った。 |
瓶詰: |
ビン詰直前に澱引き、ブレンド。極少量の亜硫酸塩添加後、無清澄・無濾過にてビン詰。 本数:4,155本(750ml) アルコール:12.0% 酸度:7.3 g/L. 残糖:9.4g/L. |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
色合いはオレンジがかったラズベリーレッド。味わいはアセロラやイチゴなどの赤い果実に、ユーカリやビャクダン、ナツメグ、オレンジピール、墨汁など複雑な香りが絡み合う。味わいは果実の甘やかな口当たりを感じ、余韻にはさわやかな酸と軽やかな渋みを感じる。 |
料理との相性: | カプレーゼ、イチゴとルッコラのサラダ、生春巻き、ガスパチョ、茹でた毛ガニ、ムール貝の白ワイン蒸し、トムヤムクン、秋鮭のちゃんちゃん焼き、鶏のグリル マスタードソース、ジャークチキン、スモークチーズ、ミモレット |
飲み頃: | 2021年~2024年 果実主体の風味が続くだろう。2025年~ 酸味がなじみ、香ばしさと合わさり、円熟した味わいになる。 |
2021/03/03
●2019 こことあるシリーズ ぴのろぜワイン・データシートPDF(プリントに最適です)