1950年代、計算や読み書きが苦手な少年たちとその担任教師が急斜面の山を切り開き、600本あまりの葡萄の苗木を植えました。この葡萄畑では開墾以来、除草剤を一切撒いたことがありません。現在、除草剤も化学肥料も使用しないこの葡萄畑の頂上に、「第一楽章」の葡萄が育っています。立っているだけでも困難な山頂の急斜面の自家畑。この急斜面では1年中空の下で、手間をおしまぬ農作業が行われています。日本固有の葡萄品種マスカット・ベーリーAによる赤ワイン「第一楽章」は、真に個性豊かなワインを目指して造られています。マスカット・ベーリーAは私たちが葡萄を作り始めた頃から栽培している品種で、よく熟したほんとうに上質なマスカット・ベーリーAでしかこの「第一楽章」は造られません。一方、「第一楽章」の醸造については伝統的なヨーロッパの技術を取り入れながら、丁寧な手作業や徹底した選果によるワイン造りを行っています。2020年秋、ココ・ファーム・ワイナリーでは、すべての葡萄を野生酵母(天然の自生酵母)により醗酵させましたが、1996年に赤ワインの醗酵を野生酵母で初めて行ったのはこの「第一楽章」でした。
「2018第一楽章」は、私たちのワイナリーを見下ろす山頂の「開拓園」のマスカット・ベーリーAを中心に、1984年私たちがワインを造りはじめた頃開墾された佐野の赤見の自家畑のマスカット・ベーリーAから構成されています。熟した果実の味わいと複雑さを持つ自然のままのワインに仕上げるため、清澄やフィルターによる濾過をしていません。手を加えることを最小限に抑えてビン詰しました。
開栓する数時間前にボトルを立て澱を沈め、ゆっくりと注いで、お楽しみいただければ幸いです。
テクニカル・データ | |
品種: | マスカット・ベーリーA 100 % |
畑: | 栃木県足利市田島こころみ学園 栃木県佐野市赤見こころみ学園 |
収穫: | 2018/10/08,09(足利市田島) 2018/10/10(佐野市赤見) 収穫時の糖度(平均):約21.4°Brix 収穫方法:手摘み |
醗酵: | 葡萄を一部潰して投入し、残りは全房でオークタンクに入れ、静置した状態で自重により葡萄がつぶれ、徐々に醗酵するよう促す。醗酵により出てきたアルコールによって果皮からの成分が程よく抽出されたことを確認後、プレス。 その後、古樽内で野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック醗酵)を続ける。 |
熟成: | 500Lのフランス産オークの古樽で約10カ月熟成。 |
瓶詰: | 澱引き後、清澄せず無濾過でビン詰。 ビン詰日: 2019/09/12 本数: 1,330 本 (750ml) アルコール: 10.9 % 酸度: 5.8 g/L. 残糖: 1.4 g/L. |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
イチゴジャム、無花果、ブラットオレンジの熟した果実の滑らかな香りにナツメグ、クローブなどのスパイス、鉱物的なニュアンスも加わり複雑。味わいはフレッシュなこまかい酸と同時に、上品なタンニン、果梗などからくる旨味も重なりタイトな余韻が長く続いていく。 |
料理との相性: | フルーツトマトのサラダ、つぶ貝のソテー、鹿刺し、マグロの漬け、のどぐろの煮つけ、鳥ときのこのフリカッセ、うな重、鴨のロースト、仔羊の香草パン粉焼き、ピーマンの肉詰め、ホワイトスティルトン、しののめ(今牧場)、あんみつ、岡田のパンヂュウ |
飲み頃: | 2021年~2023年 フレッシュさと華やかな味わいを楽しめる。 2024年~2028年 香ばしさなどの熟成の兆しが出始め、なめらかさと一体感が更に増し味わいの向上が期待できる。 |
2021/02/01
●2018 第一楽章ワイン・データシートPDF(プリントに最適です)