“こころみシリーズ”は可能な限りベストなワインを造ろうという新しい試みです。赤ワイン、白ワインといった分類や製法にとらわれずに、葡萄の持つ魅力を引き出すこともテーマのひとつです。
タナはフランス南西部原産の黒葡萄で、赤ワインの渋味の元にもなる「タンニン」が語源と言われ、現地では渋味が強く、色の濃いしっかりした赤ワインがつくられています。海外のワイン産地を訪れる旅の途中で、私たちはこのタナ種に巡り会いました。今、このタナ種の葡萄は、日本でも突出した色の濃さとタンニンを持つ葡萄に育っています。そんな葡萄でロゼワイン!? 不思議に思う方もいらっしゃるでしょう。実はタナは、渋味や色の濃さだけでなくのびやかな芯のある酸味やボディを持ち、特に長野県高山村の佐藤さんが育てるタナには、土地の特徴である鉱物のような味わいが感じられます。
2016年はこの白ワインとしての魅力を生かし豊かな酸とボディを持つ「ブラン・ド・タナ」を造り、この葡萄が赤ワインと白ワインの両方の魅力をあわせ持っていると実感することができました。それならばロゼは? ということで、3年間続けて「2017こころみシリーズ タナロゼ」、「2018こころみシリーズ タナロゼ」そしてこの「2019こころみシリーズ タナロゼ」を造ってみました。
この3つの秋の試作を経て私たちは確かな答えを掴んだような気がしています。醸造場ではタナの果皮の色や成分が果汁に移るようMC(マセラシオンカルボニック)を行った後、野生酵母や野生乳酸菌で醗酵させました。渋味がやわらかく、豊かな酸とボディを持ち、赤い果実の香るチャーミングなロゼワイン。日本生まれのタナ種の日本のロゼワインとしての可能性をお楽しみいただければ幸いです。
テクニカル・データ | |
品種: | タナ 100% |
畑: | 長野県高山村 佐藤農園 |
収穫: |
2019/10/07, 11 収穫時の糖度(平均)約23.3°Brix |
醗酵: | 房全体をタンクに入れ、MC(マセラシオンカルボニック)を約1週間行った後プレスし、野生酵母にて醗酵させた。その後、木樽で野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック醗酵)を続ける。 |
熟成: | 木樽で約7カ月熟成。 |
瓶詰: |
澱引き後、清澄せず無濾過でビン詰。 ビン詰日:2020/06/10 本数:1,375本(750ml) アルコール:13.5% 酸度:0.47 g/100 ml 残糖:0.27% |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
色合いは赤みがかったサーモンピンク、アセロラやサクランボ、木苺の果実に加え、コリアンダーや白ゴマ、トマト、トーストのニュアンス。口当たりはドライで酸が全体を引き締め、タナ由来のスパイシーさやミネラル感が余韻を長くしている。 |
料理との相性: | ザワークラウト、セミドライトマトのオイル漬け、ピータン、生春巻き、ブイヤベース、サバの西京焼き、餃子、白いんげん豆のカスレ、牡蠣フライのタルタルソース、酢豚、油林鶏、イチジクのコンポート |
飲み頃: | 2022年ごろまで、フレッシュな香りのある味わいが続くだろう。2023~2027年は、タンニンがなじみ一体感と香ばしい余韻がでてくるだろう。 |
2020/11/24
●2019 タナロゼワイン・データシートPDF(プリントに最適です)