1929年にドイツで、スキアーヴァ・グロッサとリースリングの交配により誕生したケルナー種は、1969年にやっと公認され、今では現代ドイツの葡萄交配の大傑作とまで言われる葡萄品種です。現在ドイツをはじめオーストリアやイタリア北部、またイギリスやカナダなどでも栽培が記録されています。そして忘れてはいけないのが日本の北海道。私たちはケルナーが持つ、華やかな香り、みずみずしい酸、豊かなフルーツに魅力を感じ、余市の契約栽培農家さんに栽培をお願いするようになりました。
2019年、余市の藤澤さん、荒さん、才川さん、長谷川さんの葡萄畑からは、豊かな香りと酸を持つ素晴らしいケルナーが収穫できました。このケルナーの果実の力を逃がさないよう、足利の醸造場では13℃から26℃で野生酵母で醗酵させ、フレッシュさを維持するためにステンレスタンクで約5カ月間熟成しました。「2019月を待つ」は、甘口の果実味豊かで凛とした酸を持つきれいな味わいの白ワインです。
名前の由来は「出る月を待つべし、散る花を追うことなかれ」という江戸時代の中根東里の言葉から名付けました。この清貧の儒学者が佐野にひらいた村塾の壁書にこの言葉があったそうです。(磯田道史著「日本人の叡智」新潮新書) そういえば、“Here Comes The Moon ほら、月が顔を出すよ”という名曲もありました。さあ、お月さまと一緒に、この自然のエレガンスをゆっくりと楽しみましょう。
テクニカル・データ | |
品種: |
ケルナー 93% ソーヴィニョン・ブラン 7% |
畑: |
北海道余市 藤澤農園、荒農園、才川農園、長谷川農園(ケルナー) 北海道余市 才川農園(ソーヴィニョン・ブラン) |
収穫: |
2019/10/15, 18, 22, 27 (ケルナー) 2019/10/15(ソーヴィニョン・ブラン) 収穫時の糖度(平均)約23.7°Brix |
醗酵: | 葡萄を選果した後、やさしくプレスして得られた果汁をステンレスタンクに入れ、約13~26℃の温度で野生酵母によって約1カ月~2カ月半ゆっくりと醗酵させた。 |
熟成: | ステンレスタンクで約5カ月~6カ月半熟成。 |
瓶詰: |
澱引き後、濾過を行いながらビン詰。 ビン詰日:2020/06/10,11 本数:4,747本(750ml) アルコール:13.0% 酸度:0.70 g/100 ml 残糖:3.8 % |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
グレープフルーツや洋梨、アプリコットの果実に加え、レモンシロップやはちみつ、クリーム、ナッツの香り。口当たりは柔らかな甘みにしっかりとした酸とミネラル感が全体を支え、複雑で長い余韻を感じる。 |
料理との相性: | よだれ鶏、桃とブラッターチーズのカプレーゼ、金目鯛の昆布締め、舞茸の天ぷら、焼鳥せせり、筍の筑前煮、鮎の塩焼き、蕪の蟹あんかけ、ジャークチキン、焼豚、アップルパイ、紅茶のシフォンケーキ |
飲み頃: | 今から2022年ごろまで、フレッシュな果実味のある味わいが続くだろう。2023~2027年、熟成によるオイリーさと香ばしさがでてくるだろう。 |
2020/11/24
●2019 月を待つワイン・データシートPDF(プリントに最適です)