ベストなワインを造るための私たちの試み“こころみシリーズ”。このシリーズのひとつ「田島川右岸」の葡萄が育つ畑は、足利の米どころ田島町の田んぼだったところです。田んぼの中に葡萄畑! なぜ?
21世紀になった頃、高齢になったこころみ学園の園生たちが歩いていける、平らな葡萄畑が必要になりました。しかし、こころみ学園周辺の平らな農地はそのほとんどが水田です。平らな水田は管理しやすいのですが水はけが良くありません。そこで近隣の方々の協力を得て川岸の水田で良い葡萄を収穫するための工夫がはじまりました。まず水を溜める土の層を崩し、暗渠(あんきょ=地中に埋めた排水路)を入れ排水を良くしました。次に緑肥作物といわれる草花を育て、それを刈り倒し鋤きこむことで、土壌養分や土壌微生物を増やして畑の土壌を整えました。その結果、バランスのとれた土の構造になり、2002年に植樹したヴィニョール種やトラミネット種の葡萄が元気よく育つようになりました。
田んぼだったところに、雨の多いアメリカのミズーリ州の苗木屋さんが教えてくれたヴィニョール種やトラミネット種の葡萄を植えてみて、私たちは学びました。栽培に適した場所を探すことも大切ですが、作物の種類に応じて適した環境をつくっていく方法もあることを。長い時間をかけて葡萄の生育環境を整えてきたこころみ学園農夫やスタッフのチャレンジを、ぜひ味わってみてください。
テクニカル・データ | |
品種: |
ヴィニョール 59% リースリング・リオン 21% トラミネット 20% |
畑: | 栃木県足利市田島 こころみ学園 |
収穫: |
2018/08/20(ヴィニョール) 2018/08/22(リースリング・リオン) 2018/08/27(トラミネット) 収穫時の糖度(平均):約20°Brix |
醗酵: |
一部スキンコンタクトし、やさしくプレスした。 房全体をやさしくプレスして得られた果汁をステンレスタンクに入れ、野生酵母にて約15℃の室温下で約3週間醗酵させた。 |
熟成: | 樽にて約12カ月熟成。 |
瓶詰: |
澱引き後、清澄せずに無濾過でビン詰。 ビン詰日: 2019/09/12 本数: 563本(750ml) アルコール: 11.6% 酸度: 0.66 g/100 ml 残糖: 0.36% |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
グレープフルーツ、はっさく、カリンに加え、ユリ、レモングラス、発酵バター、火打石の香り。口に含むと華やかな印象の後に爽やかできゅっと引き締める酸味が続きその後、柑橘類や有核果実とオークの風味が程よい苦みと共にじっくりと広がっていく。 |
料理との相性: | 桃とリコッタチーズのサラダ、平目のカルパッチョ、アスパラガスの卵炒め、タケノコのあおさ海苔炒め、鯵の香草パン粉焼き、桜海老と新玉ねぎのかきあげ、牡蠣フライ、豚肉の塩麹焼き、あさりと春キャベツのペペロンチーノ、ブリード那須、さつまいものはちみつ漬け |
飲み頃: |
2020~2022年 フレッシュな味わいが続く。 2023~2025年 熟成により香ばしさやドライフルーツの香りがでて円熟する。 飲む直前に氷水や冷蔵庫で1時間程度冷やすと風味をより楽しめる。 |
2020/04/20
●2018 田島川右岸ワイン・データシートPDF(プリントに最適です)