ここ北関東・足利の夏は暑い、とにかく蒸し暑いです。ちなみに2017年は冷夏でしたが、隣の佐野市の観測所では、最高気温が35℃以上の猛暑日を8日記録しています。一般的に、葡萄は暑すぎる日が続くと果実に含まれる酸が減って、病気にかかりやすく、特に白ワインは平坦な味わいになってしまいがちです。
そうはいっても、ココに生きる葡萄も私たちも引っ越すわけにはいきません。こころみ学園では、20世紀から21世紀にかけて、気候変動に負けない適地適品種のよいワイン用葡萄をつくることがみんなの願いでした。
そんな願いを実現すべく、1990年頃から、世界各地の産地を調べ、訪れ、実際にテイスティングする旅がはじまりました。そしてとうとう、フランスの南西部スペインとの国境にほど近い、ピレネー山脈の麓でこのプティ・マンサンに出会うことができたのです。このジュランソンの地でつくられるプティ・マンサンのワインは驚くほどの凝縮感と余韻の長さを持っていました。強い酸味に対し、味わいのバランスをとるために、甘さをしっかり残した原産地のワイン。足利ではきっと酸味が適度に残る葡萄になり、それなりにバランスのとれた白ワインになるのではないか・・・。そんな予測から2006年、私たちはプティ・マンサンの栽培をはじめました。
そして10年後、足利の暑さにも耐え美味しい酸を残したまま、よく熟した果実を収穫できるようになりました。私たちは、できあがったワインにもこれからの可能性にも大いに期待しています。ぜひ味わってみてください。
テクニカル・データ | |
品種: | プティ・マンサン 100% |
畑: | 栃木県足利市田島 こころみ学園 |
収穫: |
2017/09/27 10/2~5 収穫時の糖度 約24°Brix(平均) |
醗酵: | 房ごと葡萄をやさしくプレスして、ステンレスタンクに入れる。葡萄の香りを逃がさないように18℃位で約1ヶ月半、野生酵母で醗酵させた。その後、樽に移して野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック醗酵)を促す。 |
熟成: | 樽で約5ヶ月半~7ヶ月熟成。 |
瓶詰: |
澱引き後ブレンドし、清澄せず無ろ過でビン詰。 ビン詰日: 2018/05/16 本数: 1,852 本 (750ml) アルコール: 12.7 % 酸度:0.74 g/100 ml 残糖: 0.63 % |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
色合いは、うすにごり、黄色がかったイエローグリーン。麦わら、カリン、パイナップル、ココナツ、ハチミツ、菩提樹の香り。口中も、ナチュラルで滑らかな口当たり、カリンやハチミツレモンなどの果実と穏やかな樽、柑橘の皮、澱からの旨味、菩提樹やクローブのような苦味も混ざり合いつつ、後味に続いていく。澱があるため、まだ変化しそうな気配がある。 |
料理との相性: | 寒平目と柑橘のカルパッチョ、アランチーニ、鶏の柚子ハチミツ焼き、牡蠣フライ タルタルソース、イカのレモン炒め、ひき肉入りコーンボール、ミモレット・ジュンヌ、ホワイトスティルトン・アプリコット、カンボゾーラ、クレープシュゼット、紅茶のマドレーヌ、レモンケーキ |
飲み頃: | 今から、2年くらいは、フレッシュな果実味のある味わいが続くだろう。いい状態で保存できれば、向こう7年は、熟成ができるだろう。熟成に伴い、一体感が増し、余韻も伸びていくだろう。 |
2019/01/14
●2017 プティ・マンサンワイン・データシートPDF(プリントに最適です)