私たちは、世界中のワイン産地を訪れる旅の間に、茜色の滋味深いワインに巡り会うことができました。イタリアのフリウリ地方やフランスのジュラ地方、そしてジョージアの生産者がつくる、渋く複雑でナチュラルな美味しさを持つオレンジ色のワイン。適地適品種の葡萄を探すなかで、その土地の葡萄がその個性を思う存分に発揮しているワインの有りようは、私たちを元気づけてくれました。
日本固有の葡萄・甲州種の白ワインは、そのほとんどが淡い色で、軽く飲みやすいものです。それゆえ葡萄自体も同じように、淡い色でソフトな味だと思われがちですが、実は甲州種の葡萄は渋味がありとても力強いのです。そんな甲州種の魅力を引き出したくて、2004年、私たちは甲州種から、可能な限り葡萄の香りと成分を抽出したワインをつくりはじめました。F.O.S.とはFermented on Skins(果皮の上で醗酵)の略。以来、この白ワインは優れた契約栽培家との信頼関係をもとに、毎年、赤ワインをつくるように果皮や種を一緒に醗酵させ、試行錯誤を繰り返しながらつくられています。「2016甲州F.O.S.」も、深い色、広がりのある複雑なアロマ、ここちよい渋みを有するワインで、最近ではオレンジワインに分類されています。中華をはじめいろいろなお料理と思わぬ相性を見せる個性的なこのワイン、気の合う方とのんびりお楽しみくださいますように。
テクニカル・データ | |
品種: | 甲州 100.0% |
畑: | 山梨県甲州市勝沼 秋玉園東夢農場 |
収穫: |
2016/10/31 収穫時の糖度 約17.5°Brix(平均) |
醗酵: | 赤ワインと同じように、葡萄を除梗し陶器の甕(23%)またはステンレスタンク(77%)に入れ、1日2回ピジャージュしながら醸す。醗酵により出てきたアルコールによって果皮からの成分が抽出されたことを確認し、仕込開始10日後にプレスした。 |
熟成: | 醗酵終了後、68%を樽で、32%をステンレス樽で、12ヶ月熟成。 |
瓶詰: |
オリ引き後、清澄せず無ろ過でビン詰。 ビン詰日: 2017/9/14 本数: 2,243本(750ml) アルコール: 12.0 % 酸度: 0.41 g/100 ml. 残糖: 0.10 % |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
鮮やかで明るいオレンジ色、びわ、金柑、オレンジピール、オレンジ色っぽい果物の香りと、シナモン、香木、クローブ様の苦味、スパイスを想起する匂いもある。口中は、フレッシュなびわや金柑、オレンジピールに、オークや煮出した紅茶のような渋み、ドライな口当たりで、若々しくも複雑さのあるワインである。 |
料理との相性: | イカと魚介のパエリア、アランチーニ、スモークサーモン、いぶりがっこ、鶏の照り焼き、肉じゃが、常夜鍋 ポン酢で、生ハムやパテなどシャルキュトリー全般、お好み焼き、ミモレットやコンテなどをある程度熟成させたもの(ワインの熟成に合わせたい) |
飲み頃: | すぐに飲むなら、開けたてのフレッシュさを楽しみつつ、翌日や3日後に飲んでみたり、しばらく変化も楽しんでほしい。1週間くらいまでは楽しめるだろう。いい状態で、5年ほど熟成させると、落ち着きや一体感が出てくるだろう。10年以上の長期の熟成も可能。経年による変化を楽しめる。 |
2018/5/30
●2016 甲州F.O.S.ワイン・データシートPDF(プリントに最適です)