私たちは、世界中のワイン産地を訪れる旅の間に、茜色の滋味深いワインに巡り会うことができました。イタリアのフリウリ地方やフランスのジュラ地方、そしてジョージアの生産者がつくる、渋く複雑でナチュラルな美味しさを持つオレンジ色のワイン。適地適品種の葡萄を探すなかで、その土地の葡萄がその個性を思う存分に発揮しているワインの有りようは、私たちを元気づけてくれました。
日本固有の葡萄・甲州種の白ワインは、そのほとんどが淡い色で、軽く飲みやすいものです。それゆえ葡萄自体も同じように、淡い色でソフトな味だと思われがちですが、実は甲州種の葡萄は渋味がありとても力強いのです。そんな甲州種の魅力を引き出したくて、2004年、私たちは甲州種から、可能な限り葡萄の香りと成分を抽出したワインをつくりはじめました。F.O.S.とはFermented on Skins(果皮の上で醗酵)の略。以来、この白ワインは優れた契約栽培家との信頼関係をもとに、毎年、赤ワインをつくるように果皮や種を一緒に醗酵させ、試行錯誤を繰り返しながらつくられています。「2015甲州F.O.S.」も、深い色、広がりのある複雑なアロマ、ここちよい渋みを有するワインで、最近ではオレンジワインに分類されています。中華をはじめいろいろなお料理と思わぬ相性を見せる個性的なこのワイン、気の合う方とのんびりお楽しみくださいますように。
テクニカル・データ | |
品種: | 甲州 100% |
畑: | 山梨県甲州市勝沼 秋玉園 |
収穫: |
2015/10/31,11/3
収穫時の糖度 約16.6°Brix(平均) |
醗酵: |
2つの方法で野生酵母により醗酵させた。 1つ目は、赤ワインと同じように、葡萄を除梗しステンレスタンクに入れ、1日2回ピジャージュしながら醸す。醗酵により出てきたアルコールによって果皮からの成分が抽出された後、プレス。 2つ目は、葡萄を除梗しプレスした後、合成樹脂のタンクで醗酵。 |
熟成: | 醗酵終了後、26%を樽で、74%をステンレスタンクで、13ヶ月熟成。 |
瓶詰: |
オリ引き後、清澄せず無ろ過でビン詰。 ビン詰日: 2017/01/12 本数: 6,352本(750ml) アルコール: 12.3% 酸度: 0.48 g/100 ml. 残糖: 0.06% |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
オレンジ、八朔の皮、針葉樹のような香り。口中も、フレッシュで心地良く、みかんやりんご、八朔を白い薄皮ごとかじったような果実味とおだやかな渋味もある。 |
料理との相性: | 海老しんじょうを揚げたもの、秋刀魚のフライ、鶏の五香粉揚げ、焼き鳥を塩で、カプレーゼ、鶏レバーの豆鼓炒め、パイナップル入りの酢豚 |
飲み頃: | 現時点では、例年の甲州F.O.S.よりも、フレッシュな味わいが楽しめる。気温の高い時期は、冷やしすぎると苦味が増すので、少し冷やし気味(セラー温度15℃)がおすすめ。2、3年後には、なめらかでこなれた印象になり、変化も楽しめそう。10年後も充分、飲み頃が続く。 |
●2015 甲州F.O.S.ワイン・データシートPDF(プリントに最適です)