2020年秋、6年前に収穫され野生酵母で醸造された「2014山のタナ」が、ほどよい熟成の時を迎え、蔵出しになりました。暗い山の貯蔵庫で静かに眠っていたフルボディの赤ワインです。
タナ種は日本ではあまりよく知られていません。当時、栽培醸造スタッフが「タナ種を栽培してみたい」と言ったとき、販売スタッフは「ハリウッド・スターが自家用飛行機でフランス南西部の現地まで買いに行くようなワイン」という認識しかありませんでした。ソムリエさんやワインの専門家しか知らないような品種のワインをどのように売ったらよいか、期待しつつも戸惑っていたのです。
海外のワイン産地と比べたとき、日本の独特な土壌と気候は私たちを困惑させました。しかしどんな葡萄品種を栽培するのかを決めるのは単純なことで、「日本でうまく育つ品種こそが、私たちが栽培すべき品種」と考えるようになりました。そしてフランス南西部マディラン地域から葡萄の苗木を購入し自分たちの自家畑で育て、やがて契約栽培農家の方たちにもタナ種の葡萄を栽培してもらうようになりました。今、この飲み頃の赤ワイン「2014山のタナ」をご紹介できることを幸せに思っています。
テクニカル・データ | |
品種: | タナ 100 % |
畑: | 山形県上山 |
収穫: |
2014/9/29, 10/21 収穫時の糖度:24.1°Brix(平均) |
醗酵: | 完熟した葡萄を除梗して、小型のタンクへ移す。1日2回のピジャージュをおこないながら、徐々にマストを温めてゆく。3、4日すると野生酵母による醗酵が自然に始まる。醗酵は高めの温度ですすみ、残糖がなくなるまで続く。注意深くピジャージュを続けながら、十分な色素と風味を抽出する。約2週間醸した後、マストを搾り、ワインを皮と種から分ける。その後、小樽に移し野生乳酸菌によるMLF(マロラクティック醗酵)を促す。 |
熟成: | オークの小樽で13ヶ月熟成。 |
瓶詰: |
ビン詰日: 2015/12/24 本数: 1,708 本(750ml ) アルコール: 12.7 % 酸度: 0.84 g/100ml. 残糖: 0.17 % |
このワインについて | |
テイスティング・ コメント: |
ダークチェリー、ワイルドベリーの果実や火打石などのミネラルに、根菜のような複雑なアロマを感じる。濃縮感のある果実味にさわやかな酸が加わり、滑らかなタンニンが味わえる。 |
料理との相性: | ステーキ、スペアリブなど、牛肉の燻製、トンポーロー、黒酢の酢豚、メンチカツ、炭火焼全般、メカジキのソテーバルサミコソース |
飲み頃: | 現在〜2024年頃。長期熟成も可能。熟成により口当たりが柔らかに広がる、ゆったりとしたまろやかで複雑なワインとなる。 |
2020/10/04
●2014 山のタナワイン・データシートPDF(プリントに最適です)