開墾60年の葡萄畑


ココ・ファーム・ワイナリーの東の急斜面の葡萄畑は、1958年、当時の足利市立第三中学校職実クラスの中学生たちとその担任教師・川田昇(かわたのぼる1920年12月18日-2010年12月17日)によって開墾されました。現在は、こころみ学園の葡萄畑として、ココ・ファーム・ワイナリーのワイン用原料葡萄を育てています。
この葡萄畑は平均斜度38度。上の方は42度という急斜面です。なぜこんな山奥の急斜面に葡萄畑を開墾したのか? それは、一介の教師には平らな土地を手に入れることができず、山奥の急斜面を開墾するしかなかったからでした。しかし実はこの葡萄畑は、南西向きで陽あたりがよく、急斜面のため水はけもよく、葡萄にとってはなかなか良い条件でした。ジュラ紀の地層であったことや、松が自生するようなどちらかというと貧しい土壌であったことも、葡萄がしっかり実を付けるために大事なことでした。


また、この急斜面は葡萄の生育によいだけでなく、障害があるため必要以上に過保護にされ、あてにされることもなかった子どもたちの心身を鍛えるためにも重要な役割を果たしてきました。
葡萄畑の南側から草を刈りだして、葡萄畑の北側が刈り終わる頃には、また南側の草が茂ってきます。また南側から草を刈りだして、葡萄畑の北側が刈り終わる頃には、またまた南側の草が茂ってくる・・・。そんな繰り返しをいとわずにやってきた子どもたちのおかげで、この葡萄畑は開墾以来60年間、除草剤を撒いたことがありません。
除草剤を撒かない葡萄畑には、いろいろな草花が茂り、その草花にはたくさんの虫が集まってきます。たくさんの虫が集まってくると、その虫を求めてたくさんの鳥たちがやってきます。そうするとその鳥を追い払うために、朝から晩までカンをたたくという仕事がうまれます。


葡萄畑や醸造場での仕事は、365日やってもやってもやり尽くせないような仕事です。無心に土に向き合い、葡萄や微生物の声に耳を傾ける毎日。自然のなかで、大変だけれども「働くことが喜び」でもあった60年。
この貴重な仕事を続けることができましたのも、ひとえにお支えくださった皆さまのおかげです。心から御礼申し上げます。
これからも開墾の頃の気持ちを忘れずに、みんなで助け合いながら、仲よく明るくひたむきに、毎日の作業に取り組んでいきたいと思います。
末永くどうぞよろしくお願い申し上げます。

2018年 こころみ学園 ココ・ファーム・ワイナリー